第2章 Rigth Back To You
【和也side】
ここ何年もずっと、俺はある疑惑を抱いていた。
『もしかしたら...』
そう思って観察しても、彼らはなかなか尻尾を出さない。それがあまりにも完璧で、
『俺の勘違いだったのかも..』と
自分の考えすぎを認めようとしていた、その時、ついに二人が確証的な姿を見せた。
揃って遅刻し、慌てたように現れた二人の姿は、その場にいた誰もが、少し前まで一緒に寝ていたんでしょ..
と思わずにはいられないような違和感だった。
決定的だったのは、慌てていたことが見て取れる、翔さんと、まだ眠そうな大野さんから、同じボディーソープの香りがしたこと。
いつもの香水、忘れたよね?
翔さんらしくない...
そんないつもしないようなミスが、
そのすぐ側に、彼とは違うのんびりした人が寄り添っていたであろうこと、容易に想像できた。
やっぱり...
大野さんは翔さんと付き合っている。
何で俺がここまで分からなかったのかというと、二人には、恋人同士に有りがちな、どうしても隠せない甘い雰囲気がない。
翔さんの横顔を、こっそり盗み見る大野さんの目は、いつもどこか寂し気で、不安そうだった。
そして、そんな翔さんもまた、
必ず一定の距離を保って大野さんを見てる。
意図して近づかないようにしてる?
だから分からなかったんだ...
でも、今日の二人は...
思わず目を反らせたくなるような、そんな空気を纏っていた。
つい1分前まで、手を繋いでいたんじゃないかって...
そんなことを想像したくなるような...
そして最近、二人を観察する俺の視界に入り込んでくることが多くなったあなた...
隠しようがないその熱い視線の先には、いつも翔さんの姿が...
『へたくそかっ///』ってツッコみたくなるような、恋する気持ちを前面に見せるようになったその人...
彼は、俺の同志に成りうるか??
.....危険...ではある。
暴走しかねないし、綿密に練られた俺の計画をぶち壊す可能性もある...
でも、彼の真っすぐさは、正直魅力だ。
...使えるかもしれない...
善は急げ、だ。
今日、収録が終わったら...
「相葉さ~ん...この後さ、空いてる~?」
『賽は投げられた』
もう、行くしかない...