第2章 Rigth Back To You
【雅紀side】
楽屋のドアを開けると、ニノがいつものようにイスに座ってゲームをしていて。
他には誰もいなかった。
「はよ〜。ってか、ニノだけ?」
部屋を見渡しても、荷物すらなくて。
朝一番に彼の顔を見たかったのに、それが叶わなくて俺は内心ガッカリして、いつものイスに鞄を置く。
なんか、あったのかな?
いつもは絶対俺より先に来てるのに…。
「どうかしたんですか?」
チラリと視線を上げて、ニノが問いかけてくる。
「あ、ううん、なんでもない」
慌てて、笑顔を貼り付けた。
あぶないあぶない。
こいつ、勘が鋭いからな。
バレないように気を付けないと。
俺が……翔ちゃんを好きなこと。
いつからだろう、こんな気持ちになったの。
最初は、ただのメンバーのひとり。
5人で居るのが楽しくて、ずっとずっとこのままでいられたらいいなって、そう思ってたはずなのに。
いつの間にか、俺の目は翔ちゃんだけを追ってた。
頭が良くって、みんなのまとめ役で。
頼りがいがあって。
俺がミスった時なんかも、さりげなくフォローしてくれて。
そこにいてくれるだけで、すごく安心できる。
ちょっと残念なところもあるけど。
でも、そんなとこも、完璧に見える彼のチャームポイントの一つっていうか。
ギャップ萌えっての?
いつもはスゴいな〜カッコいいな〜って思ってるんだけど、
かわいいなってキュンとしちゃうんだ。
好き。ほんと、大好き。
でも、メンバーだし、男同士だし。
翔ちゃんがこの気持ち知ったら、絶対引いちゃう。
だからバレないように必死に隠してきたんだけど…。
最近さ、もしかしてもしかしたらだけど、俺と同じように翔ちゃんのことを見てるんじゃないかって思う奴がいるんだ。
まさかって、そう思うんだけどさ……。
「はよーす……」
静かな部屋に、不機嫌そうな声が響いて。
ハッとして顔を上げた。
いつもは一番最後にやってくる松潤が、いつものように不機嫌そうな顔で入ってくる。
「え?あれ?翔さんとリーダーは?」
「まだですよ?」
「珍しいな、俺より遅いなんて…。なんかあったのか?」
二人がまるでお揃いみたいに、ものすごい寝癖で楽屋に飛び込んできたのは、集合時間を30分も過ぎてからのことだった。