第11章 ふたりのカタチ
【翔side】
その日はアルバムの打ち合わせ。
相葉くんは別の番組のロケでどうしても参加できないから、と4人とスタッフで行うことに。
一緒の仕事の時は、前もって、誘ってくる潤が、今回は何も言って来なくて...
まあ、彼にも彼の付き合いがあるから...そんな日もあるだろうとくらいに思っていたが、現場に現れた潤は、珍しく室内なのに、サングラスをしたままで、俺に声もかけて来なかった。
どうしたんだろうと不思議に思ったけど、打ち合わせが始まってしまえば皆いつも通りで。
休憩になり、俺は潤のそばに行き、
「あのさ、さっきの曲のとこだけど..」
そう言いながら肩に手を置くと、潤の身体がびくりと震えた。
なんだろう??こんな潤のこと、見たことない...
そのまま固まっているとニノが、
「翔ちゃん...ちょっといい??」
「...あ、うん..」
何も言わない彼が気にはなったが、俺はニノと部屋を出た。
空いている打ち合わせ室に連れていかれた。ニノは振り返りざまに、
「翔ちゃんが勘違いしてるといけないから言っとくけど、俺とっくに大野さんとは別れてるから..」
えっ??なんで..?
驚いて、何て言ったらいいか言葉が出なかった。
「だから、気持ち伝えるんなら、今だよ」
「ニノ...」
「好きなんでしょ?大野さんのこと。だったらさ」
「でも...もう、遅いんだよ...今更そんなこと...」
ニノは、俯く俺の手を握って、
「誰がもう遅いって言った??受け入れてもらえなかったら、って?
ビビってんなよ!!ダメだったとしても、いいじゃん!断られたら、また伝えれば...傷つくことさえしないで、欲しいものなんか、手に入る訳ないよ!!」
...ニノの言葉に胸が詰まる。
「みっともなくたっていいじゃん!
曝け出してみろよ!カッコ悪い翔ちゃんだって、
たまにはいいよ...どんなにぶつかっても、届かなかった俺たちの分もさ...
...悔しいけど、大野さんを幸せにできるのは、翔ちゃんしかいないんだ...」
気が付いたら、温かいものが頬を伝わっていた。
ニノの言葉が、閉ざしていた心の奥に光を差した。
...ぶつかる...智くんに?
...でも...潤が...
俺には、潤がいる...
「今夜、松潤と話しなよ..」
ニノが言った。