第11章 ふたりのカタチ
【和也side】
次の収録までは松潤に会わないから、俺はその前にと思ってLINEした。
『翔ちゃんのことで、話したいことがある』
その返信は、『俺にはない』だった。
俺は少し考えて、『翔ちゃんのことをホントに思うなら必ず来て』と、場所と時間を入れて返した。
それに対しては、ずっと既読にさえならなかった。
でも、俺は賭けていた。松潤の中にある、本来彼がもってる優しい気持ちに...
自分の隣に縛り付けていることに、少しでも罪悪感を感じてるなら、あいつは絶対に来る。
その日。
『相葉さんのマンション、松潤の仕事が終わる予定の一時間後』
「松潤、来るかなぁ〜?」
「絶対来るよ!松潤が松潤なら、絶対にね...」
俺はゲームをしながら、相葉さんはソファーに横になって目を閉じていた。
静かな時間が流れ、予定に時間になっても彼は来ない...
沈黙に耐えられなくなったのか、相葉さんがテレビをつけると、画面から、松潤と相葉さんのシャンプーのCMが流れた。
カッコよく決める二人...
...ホントに、絵になるよなぁ~...ファンの子が、この二人の組み合わせを『モデルズ』なんて呼んでること、分かる気がするよ...俺と智じゃ、そんなこと言われる訳ない..
あっ...
付けたばかりのテレビを、相葉さんは直ぐに消して、大きなため息を付きながら、またソファーに沈んだ。
予定を2時間過ぎ、俺たち二人に諦めの空気が漂い始めた。
このまま、来ないかも...
「ねえ、ニノ..やっぱさ..」
相葉さんが立ち上がったその時、
来客を告げるインターフォンが鳴り、俺と相葉さんは顔を見合わせた。
部屋に入るなり、
「撮影が押して遅くなった...ごめん..」
と松潤は頭を下げた。
「コーヒーでも入れよっか?」
そうキッチンへ向かおうとした相葉さんを、松潤が呼び留めた。
「それより、話って何??」
......
「まあ、座れよ...」
逸る彼を座らせて、俺は単刀直入に言った。
「翔さんを、大野さんに返してやれよ」
直ぐに反発すると思っていた松潤は、暫く俯いていたと思ったら、呟くようにぼそりと、
「俺、翔くんがいないと、ダメなんだ..分かってるけど...離れられない...」
と言った。
肩を落としたその姿に、俺たちは言葉を失った。