第11章 ふたりのカタチ
【翔side】
マネは打ち合わせに行ってしまったから、部屋の中には俺と松潤だけ。
電話もLINEも無視してたから気まずいけど、逃げるわけにもいかないし、俺は、奥のソファーに座ろうとした。
すると、手首を思いっきり捕まれて、そのまま唇を重ねて来た。
「...っ///」
逃げようとしたけど、頭をしっかり押さえられていて身動きが取れない。
慣れた唇も、今は違和感しかない。
やっと身体を捩じって顔を背け、抗議するつもりで潤を睨むと、その目は不安そうに、悲しそうに、涙を浮かべていて...俺は何も言えなくなった。
「...潤...俺..」
潤は、俺の肩に顔を埋めて、絞り出すように、
「翔くん...好きなんだ...離れたくない..俺にとって、翔くんが全てなんだよ...お願い...別れるなんて、そんなこと言わないで...」
「......」
肩を震わせて、消えそうな声で、やっと俺に届けられた言葉は、嘘も飾りもない、潤の本音...
俺は何も言えなくなって、そっと潤の肩を抱き寄せた。
いつも強気で、自分の意思をはっきり伝える...
そんな潤が...泣いてる...
離れたくないって...
俺が悲しいとき、側に居てくれた。
抱き締めてくれた。
いつだって真っ直ぐな思いを俺にぶつけて来てくれた。それを、突き放すなんて...自分だけのエゴで、傷つけておいて...
そんなの、自分勝手すぎるよな...
「潤...人が来るから...帰りに話そう..」
そのまま、雑誌の取材があって、5人での収録になった。いつもと違う空気が流れてる。
その中で、明らかに様子が違うのは潤だった。
ひと言も話さない。
誰にも話しかけられたくないっていうオーラを出していて、マネさえ様子を伺っている。
相葉くんが不安そうに俺を見てる。
ニノがゲームの合間に俺と智くんを交互に見る。
智くんは、ソファーに横になって目を閉じたまま。
重苦しい空気に、押し潰されそうだった。
それでも何とか収録は終わり、帰り際、潤が俺のところに来て言った。
「翔くん、行こ..」
「...うん」
当たり前のように、松潤と帰ろうとする俺に、相葉くんが慌てて、
「翔ちゃん!」
と声を掛けたけど、俺はちらっと視線を送っただけで、そのまま松潤の後ろをついて部屋を出た。