第11章 ふたりのカタチ
【潤side】
相葉くんにフラれた…?
「どういう、こと…?」
「なんだよ、潤!もしかして彼女か〜?」
聞こうとしたら、斗真が後ろからデカい声で叫んできて。
頷いて「なんだよ、チキショー!」なんて声を背中に受けながら、騒がしい部屋を出る。
『…斗真と、飲んでんの?』
「あ、うん。そんなことより!どういうこと?フラれたってなんで?」
『なんでって…フラれたんだよ。別れようって言われた。それだけ』
翔くんの声は嘆いてる感じも悲しんでる感じもしなくて。
ただ淡々と事実を伝えていた。
どういうことだよ?
昨日までそんな素振り全くなかったじゃん。
相葉くん、どんなに俺が翔くんの隣で牽制したって、黙って耐えてたのに。
突然、どういう心境の変化なんだ?
でも。
これはチャンスだ。
相葉くんが自ら手を引いた。
リーダーは、意外とニノと上手くいってるらしい。
翔くんには、もう俺しかいない。
「…これから、翔くんちに行っていい?」
別れたんなら、もう相葉くんはいないはず。
だったら、俺が側にいる。
翔くんのこと、俺が毎日抱き締めてあげるから。
なのに。
『…ダメだ。今日は、会いたくない』
「なんで!?」
『今日だけじゃない。潤…俺たち、暫く二人で会わないようにしよう』
突き放すように冷静に言い放たれた言葉に、心臓を刃物でグサリと刺されたような気がした。
「…なんで…?」
声が、勝手に震える。
なんで急にそんなこと…。
昨日まで、俺に甘えて寄り掛かってきたじゃないか…!
『ごめん…暫く、一人で考えたいんだ。自分がどうしたいのか…。また、こっちから連絡するから。それまでは連絡してこないでくれ』
一方的に宣告して。
なんの余韻もなく、ブツリと通話が途切れた。
「翔くんっ!」
叫んだけど、もう何も聞こえない。
急いで発信履歴を開き、翔くんの番号をタップする。
だけど、電源が入っていないという機械的な音声が聞こえるだけで。
何回掛けても、同じ音声が流れる。
電源、切ったんだ…。
俺は茫然とその場に佇んだ。
なんでだよ…
なんで急に態度を翻した?
相葉くん、翔くんに何を言ったんだよ…!
苛立ち混じりに、近くにあったビールケースを蹴飛ばした。
「おい潤、なにやってんだよ!」
離れない…
なにがあっても、絶対に離したりするかよ…!