第11章 ふたりのカタチ
【翔side】
雅紀の言葉が、心に少しずつ沁みていく。
雅紀の涙を見て、なんだか永い眠りから目が覚めたような、そんな気がする。
俺...もしかして、雅紀のこと、ずっとこんな風に泣かせていたのかな?
俺のいないところで、俺に隠れて、
彼は泣いていたのかもしれない。
受け入れてやったと思っていたのは上辺だけ、身体だけ、雅紀の気持ちを利用して、淋しさを埋めていただけだったのかもしれない...
雅紀......
ごめんよ...
お前の優しさに甘えて、縋ってた俺は、どうしようもないよな...
涙でぐちゃぐちゃの顔をしてるくせに、
精一杯の笑顔を作ろうとしてる雅紀のこと、
俺は側に行って抱き締めた。
「ちょっ///やめてよ!店の人が来るよ!!」
「来ないよ..」
「もう~//こんなことしないでよ..」
「いいじゃん!メンバーなんでしょ?だったら普通じゃん、こんなこと...」
「...翔ちゃん...」
「ありがとな...雅紀...幸せになって...俺よりずっと...」
その言葉で、雅紀は顔を上げて俺を見て、
「あっ、当ったり前じゃん!!見せびらかしてやるよ!」
「ふっ...楽しみにしてるよ...」
「...おう..」
雅紀と別れて、一人マンションに帰って来ると、真っ暗な部屋が俺を出迎えた。
もう、雅紀が待ってることもないんだな...
........
不思議と楽しかった時間が浮かんできて、
「俺もバカだな...」
そう笑った。
真っ直ぐにぶつかって来てくれた。
いつも、溢れるほどの気持ちで俺に向かって来てくれてた。それなのに、俺は...
雅紀に言われた言葉、
『もう分かってる筈...心の大事な場所にいる人』
......でも...
あの人にはもう...
ニノがいる...
俺なんか出る幕ないじゃん..
雅紀...
ごめんな...もう遅いんだ...
雅紀に返された合鍵を棚の上に置いたその時、
マナーにしていた携帯が震えた。
...潤...
「もしもし、翔くん?今から会える?」
飲み屋に居るのかな?賑やかな音が俺の耳に届く。
「...ごめん...今日はいいや..」
「...相葉くん??」
「.....あのさ、俺、雅紀にフラれたんだ...」
「えっ??嘘!」
松潤は絶句した。