第10章 Tears
【和也side】
「...終わりにしたい...」
あなたの口から、溢れたその言葉...
呟くように...でも、はっきりとした意思をもって、俺に届いた。
いつ言われるのか、って、毎日怯えてた。
あなたの心が俺にはないこと、
悲しいほどに感じてたのに...
一縷の希望を捨てれなかった、弱い自分。
もしかしたら、気持ちが変わるかもしれない。
俺の思いが届くかもしれない...
でも、
俺といても、心はいつも翔ちゃんの元にあって、俺を通して翔ちゃんを見てるあなたが、智...
痛いほど、分かってたから...
黙ったまま何も言わない俺に、
「ごめん...俺やっぱり、翔くんのことを忘れられない...」
智はそう言った。
今度ははっきりと、俺の目を見て。
その中にあなたの強い気持ちを感じて、
俺はもう、何も言えず、ただ涙が頬を濡らした。
「かず...たくさん愛してくれてありがとう...こんなズルい俺のこと、思ってくれて感謝してるよ...」
智....
智........
もう、終わるんだね...
翔ちゃんのところに、あなたを返してあげるよ...
あなたの心も身体も、全部....
「...さと..もう一回...だけ...抱き締めて...」
喉の奥が詰まって、言葉が上手く出ない。
そんな俺を、智は強く抱き締めてくれた。
今までで、一番強く、
一番優しく...
「かず....ありがと...」
この温もりに、夢を見させてもらった。
大好きなひとに、愛される夢...
幻でもよかったんだ。
重ねた肌の温かさに、幸せな時間を、たくさん貰った。
「....これ..からも...嵐..の..仲間...だよね...」
「あたりめ〜だ、かず。これからも、俺のこと、頼むぞ!」
「え〜..やだ...」
「なんでだよ〜//」
......さよなら、俺の愛する人...
こんなに誰かを好きだって思ったのは、
初めてだった。
......もう...届かない....
どんなに思っても。
なかなか手を離してやれなかった、
弱い俺を許してね....
.....どうか、幸せに.....
ひとりのベッドの上...
あなたが出ていくドアの音を聞いていた。
「わあああああ/////」
やっと、声を出して泣けた。