第10章 Tears
【翔side】
夕べ遅く帰ってきた雅紀は、
疲れたからとか言って、さっさと寝てしまった。
それなら俺も、そろそろ寝ようかと雅紀の横に滑り込むと、それを待ってたようにマナーモードの携帯が光った。
部屋の外に出るのも億劫で、
雅紀の寝息を確認してから画面をタップした。
『翔くん?俺..』
「...潤..何?」
『今から出てこない?』
....相変わらずだなぁ、あいつ...
もう寝るところだったと伝えると、それなら明日の夜に会えないかと聞いてきたから、OKした。
隣で雅紀が寝てるからと、急いで電話を切り、もう一度、そっと隣を伺うと、相変わらず寝息が聞こえて、ホッとした。
翌朝、向かい合って雅紀の作ったハムエッグを食べ、コーヒーを飲んでいると、雅紀が
「翔ちゃん、俺今夜友達と飲んでくるから遅いんだ。夕飯、ごめんね!」
と言ってきた。
...潤と会うから丁度よかった、
とも言えないから、分かった、とだけ答えた。
夜、潤のマンションを訪ねると、
エプロン姿の松潤が出迎えてくれた。
「おかえり♪」
「なんだよ、それ...俺んちじゃねぇし...」
そう笑って靴を脱いだ。
「今日はステーキなんだ!」
「マジで〜すげえ♪」
「ふふっ、いい肉貰ったから..」
俺たちはダイニングで向かい合い赤ワインで乾杯した。カン、という高い音を立ててワイングラスが鳴った。
「あ、うんめっ///超やらけぇーじゃん」
「だよね〜結構買うと高いらしいよ」
俺たちは、和気あいあいと他愛もない話をしながら食事をした。
潤といると、気持ちが楽だった。
何も考えなくてすむから...
彼が上手く、そういう雰囲気を作ってくれてるんだと思う。
そんな穏やかな時間が流れて、リビングで飲み直してると、何となく付けていたテレビに雅紀のCMが映った。
「...今日、相葉くんは?」
「友達と飲み会だって..」
ふうん...そう言ったきり、潤は急に黙り込んだ。
すると潤はグラスを見つめたままで、
「相葉くんといて、楽しい?」
って呟くようにそう言った。
一瞬何のことを言ってるのか分からなかったけど、
「楽しいよ...」と言った。
すると潤は今度は真っ直ぐに俺を見て、
「ほんとに、心から楽しい?ちゃんと笑えてる?」
と言った。
....潤..?