第9章 消えぬ想い
【翔side】
潤が優しく俺の服を剥いでいく。ときどきキスしながら。
「翔くん、好きだよ」
って、甘く囁きながら...
これから潤がくれるであろう快楽を思うと、身体が震えた。
「ふふっ...武者震い??」
潤に耳元でそう言われて、全身総毛だつ。
「もう...意地悪しないで...早くちょうだい...」
「了解🎵」
......堕ちていく...
足元の床が抜け落ちて、真っ暗な奈落の底に落ちていく感覚...俺は、どこまで行くんだろう...
「翔くん..泣いてるの?」
潤に言われて、涙がこぼれていたことに気付き、
ああ、俺、涙を零せるんだ...って、そう思った。そう思ったら、笑えた。
自分で仕出かしたのことなのに...
自分で蒔いた種なのに...
そこからもう、抜け出す術が、分からないんだ...
ただ。
こうして、肌を重ねていることが、今の俺を形作ることが出来る唯一の手段で...
潤に...雅紀に...
抱き締めて、愛してもらえば、考えたくない全てのことを忘れられる...
忘れたい人の顔を、思い出さずに済むんだ...
「...あん..潤..ソコ..もっとシテ...」
潤が、俺の脚の間に顔を埋めている。
ヘッドボードに凭れて、それを見ている。
潤が俺のこと、上目遣いに見つめる。
「...翔くん..凄いよ...雫がどんどん出てくる...」
「あぁ、だって///潤が...」
「...気持ち..いい~?」
「...うん...イイ...」
そんな俺を見て少し悪い顔して笑う潤...
こいつを道連れにしても、いいのかな...?
雅紀も...
だって、俺、地獄に堕ちるのに...
「潤...もう...イキそう...イレてよ」
鍛えられた鞭のような綺麗な身体が、汗でキラキラしてる。
潤が、ゆっくりと俺に入ってくる...
「ああぁ...やっ...」
だんだん激しくなる抽挿に、頭の芯痺れてくる...この感覚...きっと麻薬って、こんな感じ...なのかな...
何も考えられない...
怖いものなんかない...
今、この瞬間、俺を抱くこの腕だけが全て...
潤と一緒に高みに上り詰め、俺は意識を飛ばした。
....忘れたいんだ...
あの人のこと。
あの人のいない世界に行きたい...