第9章 消えぬ想い
【和也side】
気が付いたら智がいない。
どこに行ったんだろう?
収録が終わって、大道具が片付けられてくスタジオで、俺は智を探してた。
.....翔ちゃんは?
ふたりともいない...
まずい///嫌な予感がする!!
「ねえ、うちのリーダー見なかった?」
スタッフの一人を捕まえて聞くと、
「ああ、それならさっき、エレベーターホールの方に、櫻井さんと歩いてきましたよ」
!!!やっぱりだ...しまった。目を離すんじゃなかった///
どこだよ?どこ行ったんだ??
俺は必死に探した。
すると、
打ち合わせ室の一つから翔ちゃんが出てきた。
「翔ちゃん、智は?」
声を掛けたけど、翔ちゃんは聞こえないのか、そのまま、俺の横を通り過ぎて行ってしまった。
俺は慌てて、翔ちゃんが出てきた部屋に入る。
そこで、
床に倒れる智を見つけた。
嘘!?
慌てて駆け寄ったら、苦しそうに顔を歪める智...
胸を掻き毟るその姿は...
過呼吸だ!!
「誰か~!!誰か来て~!!智が、智が///」
局の救護室のベッドで、智は虚ろな目で天井を見ていた。
直ぐに人が来て、ここに運んでくれたから、ドクターの処置で、智は直ぐに回復した。
でもそれから、ずっとこんな風にぼんやりしている。
「智...帰ろう...」
そう言って握った手はこんなに温かいのに、
目の前の人は、目を開けたまま死んでるみたいに、何の反応もしなかった。
......翔ちゃんと、何話したの?
何があったの??
智をこんな風に傷つけたくなかったから、俺が守ってやらなきゃいけなかったのに...
目を離したばっかりに...
ごめん...ごめんよ...智...
俺は声を殺して泣いた。
すると、智がゆっくり俺のことを見た。
「かず...どうして、泣いてるの...」
「智...智、大丈夫??もう、平気??」
「俺...どうしたんだっけ?」
俺は、智が倒れていたことを話してやった。
すると、彼はまた、遠くを見るような悲しい目をして、吐き出すように、
「そうか...」
そうひと言だけ言った。
......翔ちゃんのこと、聞きたいけど、怖くて聞けないよ...翔ちゃんの名前さえ、この人の耳に入れたくない...
お願いだよ///
智を連れてかないで...