第9章 消えぬ想い
【翔side】
深夜のベッドルーム。
激しく求め合い、満たされた心地よい疲労感で、俺は布団に顔を埋めていた。
雅紀のこと、風呂に入れてやらなきゃ...
ちょっと無理させちゃったかな...
横を向けば、雅紀の綺麗な背中がゆっくりと上下していた。
声を掛けようって思うけど、
何だか身体が重くて、妙に気怠るくて...
俺はその背中に、そっと手を伸ばした。
すると向こうを向いていた雅紀が、ゆっくり寝返りをして、にっこり笑った。
その太陽みたいな笑顔に、俺もつられて笑顔になる。
「...雅紀...俺の側に居て...」
そう言いながら雅紀の頬を掌で包む。
「もちろんだよ...翔ちゃん...」
雅紀は瞳を潤ませてその手の上に自分の掌を重ねた。恋人同士の、甘い時間...
雅紀が、微笑んだまま続けた。
「俺さ、簡単な身の回りのものだけ、ここに運んでこようかな~...いい??」
「...いいよ...」
「...じゃあ、今週の土曜日、仕事が終わるの早いから、その後、車で..」
「あ、...土曜日はダメだな...多分..」
「えっ?...どうして..翔ちゃんその日、オフだよね?」
雅紀が怪訝そうな顔して俺を見てる。
「その日は、潤がホテル取ってくれるらしいからさ、そっち行くわ~」
「...潤って...松潤のこと??」
驚いたような顔した雅紀...
なんで?そんな顔するんだよ...?
「当り前だろ~?他の潤って...あ~..名倉さんとか?後は~...」
「翔ちゃん!!」
急に俺の肩を掴む雅紀...
「どうして??」
「どうしてって、何がだよ?」
「俺たち、付き合ってるんでしょ?一緒に暮らすんでしょ?なのにどうして!?」
どうして...って...質問の意味が、よく分からないよ...
何も答えない俺に、雅紀は涙を浮かべて、
「俺って、翔ちゃんの恋人でしょ?なのに、松潤と会うって...何でだよ...」
雅紀の頬を、綺麗な涙が伝う...
でも、
その意味が分からないよ...だって...
「潤が、俺のこと好きって、そう言うから...」
「じゃあ、翔ちゃんは、好きって言われれば、誰とでも寝るのかよ??」
「...それの、どこが、いけないの...?」
.........
「...しょう...ちゃん...」