第8章 モノクロ
【和也side】
「和也...今日はさ、俺にちょうだい?お前のこと...」
...それって、そう言うこと...だよね..?
「お前のこと抱きたいんだ...いいよね?」
「あ..でも...俺さ..あの..」
真っ直ぐな智の目に、射竦められて、俺は口ごもる。
「俺、初めてだから...ってこと??」
......驚いたように目を見開く俺に、智はふんわり羽のように笑って、
「かずの初めて...俺にくれるでしょ?...心配しないで~優しくするからさ♪」
......初めての時。どっちでもいいって、あなたは言った。『ニノのいい方でいい』って...
その裏には、どっちも経験ありだから、どちらでも平気だよ...っていう意味が隠されていたんだよね...
今更だけど。
翔ちゃんとは、交代してたって事...?何だよね?
......だったら。
俺だって、出来るよ。智が欲しいもの、
俺が持ってるものなら、全部、智にあげるよ...
だから...俺だけ見て。
「優しくしてね...」
そう言いながら、両腕を突き出すと、
智は、俺のことを胸に抱き留めて耳元で言った。
「...大切にするから...かずのこと...」
智は、俺の首筋に唇を押し付けた。
あなたの中に、まだ翔ちゃんの影があるって分ってるけど...でも俺、そんなあなたごと全部、包んで受け入れてあげる。
絶対、翔ちゃんには負けない気持ちがあるから。
智...あなたのこと幸せにしてあげるのは俺だから。
「...智...好き...」
彼の温かい掌が、俺の身体をゆっくりと這う。
舌先で弾きだされた胸の先を軽く噛まれて、身体が跳ねる。
「...かず...もう、こんなに濡らしてる...
...感じてるの?」
...少し揶揄うように笑いながら、智にそう言われて、俺は顔が熱くなる。
「...だって...」
『可愛い』そう言いながら、俺のをぎゅっと握ってくれた。
指の腹で尖端を擦られると、もうそれだけで達してしまいそうで、俺は身体を捩って逃げようとした。
「かず...もっと見せて...かずの乱れるところ...
もっと聞かせて...カズの可愛い声...」
俺を見つめる智の目の中に、見たこともないような雄の輝きを見て、俺は思わず身体が震えた。