第8章 モノクロ
【和也side】
俺は今、大野さんに手を引かれて、寝室に向かっている。
そうなればいいなと思っていたけど...こんな急な展開になると、俺は正直戸惑った。
何で急に、そんなこと...
「大野さん...ねえ、ちょっと...」
ベッドの横で、彼はくるりと振り向き、俺の肩に手を掛けた。そして、少し悪戯っぽい目で俺の顔を覗き込んで、
「智...これからは、そう呼べよ...和也...」
「......む、無理だよ...」
「...無理でも、呼んでよ...和也🎵」
ご飯の時、赤ワインを飲んだけど、この人が酔っぱらうような量でもないし...でも、実際酔ってるのかな~?
......大野さんの真意が分かんないよ...
急に名前で呼ぼうとかって、そんなこと言われても、意識しちゃって、直ぐには...
俯く俺の顎にそっと指を掛け、俺の顔を上向けた。
あ...キスしてくれるんだな...そう思って瞼を下ろすと、そのまま何も起こらない。
可笑しいな?と思って、そっと目を開けると、大野さんが俺のことをじっと見ていた。
...またあの目だ..俺を見ながら、俺ではない誰かを見てる...遠い、淋しそうな目...
俺は堪らず、大野さんの唇に俺のを押し付けた。
両頬を手のひらで包んで、何度も貪るように唇を重ね、強引に舌を捻じ込んだ。
「...ああっ..大野さん...智...好きだよ...」
「...和也..俺...」
その先の言葉に詰まる彼を見るのが怖くて、
俺はもっと激しく彼の咥内を貪った。
息も出来ないくらいに...
そのままベッドに押し倒し、その上に馬乗りになると、彼のスエットを捲りあげ、空気に晒されて硬くなった胸の粒を、口に含んで転がした。
「..あっ..ん..ぁ..かず..なり..」
感じてくれているのが嬉しくて、
俺は夢中で舌を這わせた。
「...大野さん...大好きだよ...」
「..んん..かず..気持ちいい...もっとシて...」
どんなに夢中に貪っても、彼の後ろにいる、
あの人が消えない...
俺の刺激に感じてるけど、目を閉じたまま、俺のこと、見ようとしない大野さん...
その姿に、泣きそうになった俺を、不意に、目を開けた彼は、身体を入れ替えて、俺のことを組み敷いた。