第7章 maboroshi
【雅紀side】
ニノの言葉は、さっき考えていた俺の憶測を全て肯定するものだった。
翔ちゃんとリーダーは、ずっと前から月曜日にだけ会ってた。
言葉に出してはっきり言われると、薄々わかっていたことでも胸が苦しくなった。
でも、別れるのかと聞かれて。
そんなことは考えられない。
だって、好きだもん。
翔ちゃんを好きな気持ちは、リーダーにも松潤にも絶対負けない。
俺が一番、翔ちゃんを幸せにできる!
「俺は大野さんと、相葉さんは翔ちゃんと、それぞれ別れない。いいよね?」
だから、ニノの提案に異論なんてなかった。
「わかった。絶対、別れない。なにがあっても」
「うん。俺は大野さんを絶対幸せにする。相葉さんは翔ちゃんを絶対幸せにする」
「うん!もちろんだよ!」
「俺たちは、同志だ。だから、なんかおかしなことがあったら、すぐに報告し合おう。隠し事は、なしだ」
「わかった!」
「よし。じゃあ」
そう言って、ニノは拳を俺に向かって突き出してきて。
俺は大きく頷いて、その拳に自分の拳をぶつけた。
「痛って!このばか力!ちょっとは加減しろ!」
勢い余って力いっぱいぶつけちゃって。
ニノに睨まれた。
「ごめん、ごめん。嬉しくて、ついさ」
そう、嬉しかったんだ。
ひとりじゃない。
ニノだけは、俺のこと応援してくれる。
背中を押してくれる。
俺だって、ニノとリーダーがうまくいくように、なんだってやるよ!
「とりあえず、同盟結んだところで。目下の問題は、昨日3人の間になにがあったのか、だよな…」
ニノが、少し赤くなった拳にふーふー息を吹き掛けながら、言った。
「そう、だよね…」
「…帰る前にさ、松潤が大野さんのこと、問い詰めてたんだ。翔くんになにしたんだ、あんたのせいだろって…」
「翔ちゃん熱出したの、リーダーのせいだってこと?」
「うん…松潤は、そう思ってる感じだった。知らない方が幸せなこともあるって、そうも言ってて…。大野さんに聞いても、なにも答えてくれなくて…。ただ、ごめんって…。あんな大野さん、初めて見た。虚ろな目で、すごく苦しんでるみたいだった…」
そう言うニノも、スゴく苦しそうな顔してて…。
「…わかった。俺、翔ちゃんちに行ってくる。なんかわかったら、連絡すっから」
そう言うと、ニノはすがるような、ワンコみたいな瞳で、頷いた。