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スパイラル 〜螺旋の先〜【気象系BL】

第7章 maboroshi


【雅紀side】

電話を切って、靴を脱いだ。

リビングのドアを開けて、ソファに倒れ込む。

全然、気がつかなかった…。
だって、そんなの全然感じなかった。

感じ、なかった…?

違う。
違和感は、感じてた。
翔ちゃんが、合鍵を決して渡してくれないこと。
月曜日の夜は、絶対に会ってくれないこと。

俺を抱いてるとき、時々俺じゃない誰かを見てる気がしたこと。

でも、怖くて。
それを知ってしまったら、翔ちゃんが離れていっちゃう気がして。
気づかない振りをした。
翔ちゃんは俺のことだけ見てくれてるって、思い込もうとしてたんだ。

翔ちゃんが本当に見ていたのは、リーダーだったのに…。

いつからなのか知らないけど、翔ちゃんとリーダーは月曜日にこっそり二人で会ってて。

たぶん、身体の関係もあったはずだ。

翔ちゃんちにあった、あのボトル。
翔ちゃんが俺を抱いたときの、迷いのない指。

少し考えれば、すぐにわかることだった。

きっと、ニノも気づいてた。
そして、松潤も。

俺と翔ちゃんが付き合いだして、もう翔ちゃんのことは諦めたと思っていた。
というか、そうなるようにわざと松潤の前で見せつけるようにしていたんだ。

だから、宣戦布告するように、翔ちゃんの身体に痕を残したのが松潤だと知って、愕然としたんだ。
なんで、今頃って。

違った。
あれは俺への宣戦布告じゃなかった。
リーダーに向けたものだったんだ。

松潤は、月曜日に二人が会ってるのを知ってた。

そして、翔ちゃんが熱で倒れて。

口もきかない、リーダーと松潤。

昨日の夜、三人の間でなにかがあったことは、もう疑いようがなかった。

ニノの話も、きっとそれだろう。
俺が気づいたのに、あいつが気づかないわけがないから。

どうする?
俺は、どうしたらいい?

俺とリーダーと松潤と。
みんな翔ちゃんのことが好きで。
気づいてしまった以上、今までみたいに翔ちゃんの側にはいられない。

だけど……

渡すつもりも、ない。

リーダーのことが好きだったとしても、翔ちゃんが選んだのは俺だ。

俺には雅紀しかいないって、そうはっきり言ったんだから。

俺は、頼りないその言葉を何度も心の中で、呪文のように繰り返す。

その時、インターフォンが鳴った。





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