第7章 maboroshi
【雅紀side】
チーフマネにはダメって言われたけど、翔ちゃんの様子を見に行こうと、急いで楽屋を出た。
でも直接行くとバレちゃうから、仕方なく一度自宅へ戻って、自分の車で行くことにした。
風邪かなぁ?
だったら途中でスーパー寄って、飲み物とか買っていかないとな…。
なんて考えてたら、LINEの通知音。
ニノからだった。
『聞きたいことがあるんだけど。翔ちゃんのことで』
チラッとバックミラーを見るとミラー越しにマネージャーと目が合った。
「…櫻井さんのところ、行っちゃダメですからね?」
「わかってるよ」
『ごめん、家に帰ってから電話する。それでもいい?』
そう返信すると、OKのスタンプがすぐに送られてきた。
30分程で自宅について、すぐに出掛けるからと、玄関でニノに電話をかけた。
「なに?どうしたの?」
『…今から、翔ちゃんのとこ、行くんですか?』
「うん。なんで?」
『……翔ちゃんが熱だした理由、知ってますか?』
「ううん、知らない。だから、今から様子見に行こうと思ってさ」
そう言うと、ニノは黙り込んでしまった。
「なに?なんか、知ってんの?」
なんだか妙に胸騒ぎがして、鼓動が早く打ち始める。
『…たぶん、松潤と大野さんが、関わってると思う』
出てきた名前に、心臓を鷲掴みにされた気がした。
「…松潤…」
……もう、月曜には会わないんじゃなかったの?
潤とはもうあれっきりって、そう約束したじゃん!
なんで……
”月曜日、翔さんが誰といるか、知らないの?“
不意に松潤の言葉が、甦ってきた。
……ちょっと待って?
今、ニノは何て言った?
松潤と……リーダー?
なんで、リーダーの名前が……。
突然頭ん中クリアになって、地面が大きく揺らいだ気がした。
ぐらりと身体が揺れて、その場に崩れるように座り込む。
…辻褄が、あっちゃった…。
『相葉さん?どうしたの?なんか、知ってんの?』
松潤は、翔ちゃんを抱いたのは一回だけってそう言った。
なんでそんな見え透いた嘘つくんだよって、思い込んでたけど。
月曜日に、翔ちゃんと会ってたのは……
リーダーだったんだ。
『相葉くん?ちょっと、大丈夫!?』
…なんで、黙ってたの?
そんな雰囲気、おくびにも見せないで。
松潤のことは、あっさり認めたのに。
それって、もしかして………。