第7章 maboroshi
【和也side】
松潤が、大野さんに殴り掛かろうとしてたから、思わず飛び出してしまったけど...
俺に腕を取られて、目の前の人を睨んでいる松潤と、俯いたまま何も言わない大野さん...
「どうしたんだよ??何やってんだよ??」
どちらに聞くともなく、そう言う俺に、松潤は、
「...ニノ...知りたかったら、こいつに聞けよ..」
そう吐き捨てるように言って、俺の手を振りほどいた。
そのまま、背中を向け、行こうとする彼に、
「松潤...もしかして、翔さんと...なんか...」
俺のその言葉に、松潤は脚を止め、振り返って、
「知りたきゃそれも構わない...その人に聞いてみろよ!でも、知らない方が幸せだと思うけどな...」
松潤は、そのまま行ってしまった。
その目の色は、怒りよりも寧ろ、悲しみを宿しているように見えた。
「大野さん...」
「ニノ...ごめん...」
目を合わせもしないで、ぽつりとごめんって...
小さく呟いたあなたの肩は、気の毒なほど震えていた。
「ごめんじゃ、何にも分かんないよ?....夕べ、翔ちゃんと会ってたんでしょ?...それが、どうして松潤をこんなに怒らせてるの??」
俺の中で生まれた新たな疑問...
『松潤は、もしかして、翔さんを...??』
俺の質問には何も応えず、ごめんを繰り返す大野さん...
為す術もなく、しばらくそのまま彼の肩を見ていたけど、ずっとこのままっていう訳にもいかないので、
「帰ろう...今日は、大野さんちに..」
「ごめん...今日は、一人でいたいから...」
「えっ...?」
すると、彼はやっと顔を上げて、俺のことを見た。
今にも泣き出しそうなその目に、俺はもう何も言えなくて...
「...また、連絡...するよ」
そう言って背中を向けた彼を引き留めることが出来なかった。
......翔さん...大野さんをどうしたの??
松潤が、なんで、あんなに怒ってるの??
なんで??....
事態は、とんでもないことになってるんじゃないか??
立ち尽くす俺の脳裏に、浮かんだ、相葉さんの泣き顔...
そうだ!!彼なら、知ってるかもしれない...
俺の知らない、あの3人のこと...
俺は、ポケットから携帯を出し、相葉さんにLINEした。