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ヒーローが死なないとは限らない。

第2章 俺は平凡な高校生、隣の奴は…?


午後からの授業では更に驚かされた。



英語の時間となり先生がやってきた頃。


「まだここ指定の教科書持ってないから見せてもらっていい?」


普段は離している机をくっつけ、彼女との距離がものすごく縮まった。


なんだか緊張してしまって、集中できない。




「え~~、あら、あなたが優里さんね?じゃあ少し会話しましょう!」


優里さんは返事をしてから席を立った。


この先生は1人指名して英語で少しだけお話をするということをしているのだが、会話の内容が難しくて俺は戸惑った経験がある。


大丈夫かな…俺が分かったら教えてあげよう!



そう思っていたがただの杞憂でしかなかった。



「How are you today?」


「I'm fine. Thank you. And you?」



まではちゃんと聞き取れていた。

しかしそこからはいきなり長文になり、
発音もかなり本格的で単語すらあまり聞き取れない。




しかし優里さんは答えた。


しどろもどろになっているわけでもなく、日本語で会話をしているように。

それも完璧な発音で。


先生も驚いたようで更に会話の内容がむずかしくなったようだ。


それでも彼女は動じず、スラスラと答えている。


「Thank you, let's talk again.」


と言ういつもの言葉で締められて会話は終わった。


多分、今の会話を全て聞き取って日本語訳できた人は彼女と先生だけだろう。



「すごいね、何言ってるか分からなかったよ」


「ありがとう、英語だけは得意なの」



と言っていたが彼女は英語だけでなくどの教科もすごかった。




今日一日を一緒に過ごしたわけだが、彼女はなんでもできた。


運動も勉強も、手作りお弁当も美味しそうだった。


4限目に恋したことに気づき、6限目に
彼女は俺にとって遠い存在だと思わされた。




初恋くらい叶ってくれよぉぉぉ!



という嘆きは俺の心の奥底にしまっておいた。





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