第3章 俺は平凡な高校生、隣の奴は彼女
そして窓を閉じる音とため息が聞こえたと思ったら、足音が聞こえた。
やばっ、出てきちゃうっっっ!
俺は扉から少し離れ、今来たという風に装う。
中から出てきた担任は近くにいた俺に驚きと戸惑いを隠せないようだ。
「ど、どうした?来栖…?」
「ちょっと腹痛くて…でっかい方っす!」
「そ、そうか…お大事にな」
と会話しながら担任を通り過ぎるときに横目で見てしまった。
彼の手に握られた優里の生徒手帳と真っ白な羽を。
…何故、優里はでてこない⁉︎
俺は担任が角を曲がったのを確認してから、教材室の扉を開けた。
中には教材や道具があるだけで優里はいない。
嘘だろ⁉︎どこに消えた…?
窓の開閉音が聞こえたことを思い出して、窓を除いたが下にも姿は見当たらない。
待て待て待て待て、なんなんだよ…。
頬をつねってみたが痛いので夢ではないことに落胆する。
優里って一体なんなんだ?
戸惑いながらも教室に戻った俺は、ノートにメモをしていく。
担任=教授、優里=01
資料、治癒能力、研究、攻撃、羽、消えた優里。
謎が多すぎて何も分からない。
分かるのは普通じゃないってことだ。
授業に集中出来なかったというのは言うまでもないだろう。