第11章 風邪。
こん『………主様ぁ』
私の一言でしょんぼりしてる
こんのすけに手招きをした。
ごめんね、言い過ぎたよ。
こん『…主様…熱があります…。』
『うん…うどん食べたからだよ…
ごめんね、こんのすけ…。』
よしよしと頭を撫でれば
ぷるぷると震え出した。
『ありがとう…こんのすけ。』
全部、全部…ありがとう。
そう気持ちを込めて撫でれば
お腹にぎゅう…と抱き着いた。
尻尾もゆらゆらと揺れて
喜んでいるようで嬉しいよ。
燭台切『仲がいいんだね…君達は』
『薬研様と燭台切様とも
仲良くなるんですよ?これから…』
薬研『そりゃ、光栄だな…。』
黒本丸なんて微塵も感じさせない
この本丸ならではの空気が感じる。
私が今までしてきたことは
無駄じゃ…なかったんですよね…?
こん『主様…あの…申し上げにくい
言伝があるのですが…。』
『………またか。』
尻尾をしゅんと垂れさせ
こんのすけは意を決して口を開く。
こん『集会が開かれます…。』
近侍の刀剣を連れてクソ政府が
集まる場所へ行き本丸の現状報告を
しなければならない集会…滅べ。
『…近侍、か。』
こん『強制参加…との事で、』
『ハハッ!殺してぇ!』
燭台切『お、落ち着いて…。』
私の態度からしてどれだけ嫌か
伝わってくれたようだ。
風邪を早めに治さなければ…
弱みを見せたくないのだ絶対。
『近侍、か…。』
薬研『この本丸でその集会に
行ったことがあるのは…、
長谷部の旦那だけだな…。』
『へし切長谷部様ですか、成程』
頼んでみようかと思ったけれど
燭台切様が即答で私を止めた。
燭台切『それはやめた方がいい。』
薬研『俺もそう思うぜ…。今は…
長谷部の旦那に近づいちゃいけねぇ』
二人の話によると
前審神者の信者らしく政府が
捕まえようとするのを阻止する
暴れっぷりを見せたらしい。
『………前審神者の、信者ですか。』
薬研『あぁ…今でもまだ、な。』
薬研様は表情を暗くした
仲間を思っての表情なのですね…。
燭台切『君は長谷部君に
絶対に近づいてはいけないよ。』
燭台切様の忠告を受けて
その言葉を守ろうと心に決めた。
けれど、その日の夜に
その決意さえ砕かれようとも…
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