第11章 風邪。
待てよ、ちょっと待って
上体を起こして考えよう。
私に盛った薬が媚薬だと
知っていたとしよう…。
今更だが私の性事情が
おおっぴらになっている…
まずい恥ずか死ぬぞ、これ。
一期『主…?』
『……ご要件を伺いましょう。』
不思議な顔をしてたであろう
私に一期一振様が呼びかける。
一人、五虎退様が身を乗り出した。
五虎退『や、薬研兄さん…の…』
『あぁ…今は居ませんが…
料理を持ってきてくれるらしく…』
五虎退『あ、あのえっと…、』
ブワッとその瞬間泣き出した
えっ、ん!?何事ですかな!?
五虎退『うっ…ひっ、く…
薬研兄さんを許してください…。』
『ん…っ、と?』
怒ってないですよ、と答える前に
乱藤四郎様が五虎退様を抱き締め
事の経緯を説明してくれた。
乱『薬研…手入れされる前に
難しい事考えて何か作ってて…でも
まさか主様に使うと思ってなくて…』
乱様も泣きそうな瞳になり
ごめんなさい…と呟いた。
一期『本人から全て聞きました…
我が弟の不祥事…兄である私が!
責任を取らせてください。』
秋田『や、やです!一兄も…
薬研兄さんも居なくなっちゃ…
僕やだ、そんなのやですよぉ。』
一期一振様に泣きつく
秋田藤四郎様は体が震えてる。
さて、話をまとめよう。
どうしてこうなったと問いたい。
『誰が刀解すると言う話に?』
厚『薬研が朝に言ったんだ…大将の
風邪が治ったら俺はさよならって…』
『…えぇ、』
私が熱でぶっ倒れていた間に
そんな事になっていたとは…驚き…
『話はわかりました、
単刀直入に言いますけれど…』
ごくり…全員の唾が飲む音がする。
『刀解処分はこの本丸にありません』
そう断言すると乱様が目を輝かせ
私を真っ直ぐ見つめる。
乱『そ、それ…本当?』
『はい勿論です。
この本丸の審神者は私です。
絶対に間違いはありません。』
五虎退『薬研兄さん…も、
一兄も居なく…ならない?』
『誰も居なくなりませんよ
五虎退様?安心して下さい。』
そう微笑みかけると
その場にいた全員が走り寄ってきた。
ん?ぜん…いん、だと!?
逃げる間もなく粟田口一同に
私はもみくちゃにされた。
それぞれ喜びの泣き声を響かせた。