第6章 夜戦。
三日月『その辺にしたらどうだ?』
突然、お二人ではない声が
その部屋に凛として響いた。
鯰尾『み…三日月さん。』
骨喰『どうしてあんたがここに?』
二人も同様に驚いてるようで
襖の先に佇む三日月様を見つめ
体が硬直したように動かない。
三日月『いや…何、誰かの
救いを求める声が聞こえてな…。』
そう言いながらゆっくりと
私達に近づき微笑んでいた。
少し怒りを纏ったような
声音が私達の動きを遮って
『三日月…様、』
三日月『ん、なんだ…まだ
呼び方が決まってなかったのか?』
傍らに辿り着いた三日月様は
着ていた上着を蜜で汚れた私の
体へと掛けてくれた。
温かい上着が汗で汚れた体を
包まれその温もりで視界が滲み
私の背中に手を添えて
三日月様の胸元へと引き寄せられ
人肌に触れた時、私はやっと
泣くことが出来た。
『ぅ…ひ、く…。』
三日月『………、なぁ鯰尾と骨喰よ。』
背中に回された手がぽんぽんと
リズムをきざんで片方の手で
優しく抱きしめてくれた。
(あぁ…そうか。私はきっと
誰かにこうして欲しかったんだ…
ここに来てからずっと…ずっと…。)
鯰尾様と骨喰様は三日月様から
見つめられれば乱れた服をかき
集め雑に着こなすと震えていた。
鯰尾『…な、んですか。』
三日月『今日はもう遅い。
部屋に戻って休むといい。』
その瞳には優しさと悲しみが
灯されていて今どんな感情が
彼の中で渦巻いているのだろう
骨喰『あんたは…そいつを
認めているというのか…?』
三日月『そうだが?』
なんよ迷いもなく答えた。
三日月『認めたも何も…
この者はここの立派な主だぞ。』
守りもしない救えもしない
力不足の私に向けられた言葉。
三日月『疑う余地など微塵もない。』
骨喰『………。』
言い返す言葉が見つからず
固まってしまった骨喰様は
私をそっと見下ろすように
立ち上がった。
骨喰『聞いてもいいか。』
鯰尾『骨喰…?』
口を開いた骨喰様に
鯰尾様はは首をかしげた。
骨喰『刀解するなら
俺だけにしてくれないか…。』
それは誰かも守りたい思いか
それとも私を試しているのか…。
そもそも…
『刀解するなんて言ってません。』