第28章 出陣。
長谷部の編成はバランス型
精神安定がもっとうに組み込まれ
無理なき出陣ができるものだった
心配は要らない、何一つとして。
刀装を付けて御守りを持たせ
出来るかぎりで作りあげた結界
ある程度の攻撃なら
防いでくれるまでに強化に。
『いってらっしゃい…皆さん。』
不安と期待…恐怖を持った表情に
腕がなる者、戦いたかった者
期待に応えたがる者達の刀剣を
手を振って笑顔で見送った。
私の笑顔の裏に何かあると
気づいている刀剣も複数いたが
出陣へと意識を向けてくれた。
残った刀剣はお留守番ということ
長谷部は部隊長として本丸を出る
その間の私の介護とばかりに
山伏国広様が傍に付いてくれた。
『よろしかったんですか…
山伏様…修行にもなったのに。』
山伏『修行も大事であるが
主殿に謝ればならぬ事があるのだ。』
はて…何のことだろうと
首を傾げると山伏様は頭を下げた。
布団に寝かされ上半身を起こした
私よりも深々とした土下座…
『はっ!?』
山伏様の見事な綺麗な土下座に
私は慌てて彼の肩を掴んだ。
前のめりになると腰が泣く…
ずき…っと痛んでぶるぶる
震えていると山伏様は気付き
私の背中を支えてくれた。
彼に横抱きになる形になりながら
彼を見上げると山伏様は柔らかい
笑みで見下ろしていた。
『山伏様…。』
なぜ…と問いかける前に彼は口を開く
山伏『兄弟達が主殿に
無礼を働いたと嘆いていたのだ。』
『山姥切様と堀川様が…ですか?』
心当たりはあるから
まさか…と驚いたのも事実。
山伏『兄として面と向かって
言いたかったのだ…。』
すまない…とまた頭を下げる
山伏様の青い髪が近付いて
いつもの調子で撫でてみた。
いつも白い被り物を被り豪快な
笑いの山伏様のお姿に戸惑い
いつも見れない姿に微笑みつつ
語りかけた。
『許すも許さないもありません…
感情を向けてくれただけ嬉しい。
やり方はどうであれ向き合って
くれた事…とても感謝しています。』
撫でられながら山伏様は
力が抜けたような笑みで見つめる
山伏『修行するだけでは
主殿のような心は持てませぬな!』
カッカッカッ!といつもの
笑顔を取り戻した山伏様に安心した
触れる手は何よりも温かい…。