第28章 出陣。
私は陸奥守様との夜を終え
朝日を迎えこの身が限界と
嘆いている事に気付き泣いた。
陸奥守様の慌てた様子に
愛想笑いも出来ないほどに
この身はもう…使えない。
『すみません…長谷部を…っ』
呼んできて…とお願いしようと
すれば襖が凄まじい音をたてた。
バァァァンッ!
長谷部『主!お呼びですか!?』
『どっから湧いて出た。』
いつからいたのどうしているの
とりあえず言いたい事はあった
ありすぎて困るほどに沢山…。
けれど、そうも言ってられないので
長谷部に出陣する編成を組むように
頼み込んだ。
『私がこんな状態はひっじょうに
良くない悪すぎて最悪なのわかる?』
長谷部『勿論です!
主命とあらばありとあらゆる奉仕をっ』
だんだん長谷部が変態ちっくに
なってきた気がするけどまぁいい。
『奉仕はしなくていいから…。』
陸奥守『はっはっはっ!
主想いとは素晴らしいものぜよ!』
笑いとばしてくれる陸奥守様に
がっくりとうなだれながら出陣…
遅すぎる出陣をお願いした。
長谷部『俺が主の代わりに
考えてもよろしいのですか…?』
『長谷部なら刀剣達の事を考え
無理ない編成にしてくれるでしょ
頼りにしてますよ…長谷部。』
言葉にならない喜びなのか
物凄く嬉しそうな笑顔を見た。
出陣…と言っても敵が少ない所
刀装を付けて御守りを持ってだ
無理をしなければ無傷で帰還。
それが何よりも望ましい事だった。
『私がこんな状態では
審神者失格なんですけどね…はは
刀剣達には鍛錬強化と
出陣への慣れと恐怖心の緩和を。
お願いできますか、長谷部?』
長谷部『仰せのままに。』
長谷部の深々とした礼に
私は柔らかく微笑んだ。
皆が出陣している間に
私はクロを…なんて考えは誰にも
知られてはいけない。
帰ってきたら…私がいるか
どうかなんて私にさえわからない。
陸奥守『腕がなるぜよ!!』
長谷部『主のお役に立つのは俺だ!』
二人の会話を眺めながら
この手で触れる事が叶わない未来が
近づいてくるようで…