第27章 盲目。
今剣様の気持ちが込められた
大切な御守り…貴方には伝わる…?
陸奥守『ほぉ…。』
『人の気持ちなんて
見えないのが当然なんです。
心なんて形にないもの…、
感じるだけで見えていない。』
私はそっと瞼を上げた。
少しつらそうな現実を
突きつけてしまった心苦しさを
持ちながら言葉を続けた。
『この御守りには
今剣様の気持ちが込められてます。
頑張ってって…負けないでって…
ねっ?それだけで素敵な事…。』
陸奥守『おんしゃの事よぉく
話しとった…いい笑みで笑う子じゃ』
陸奥守様は思い出すかのように
微笑んでそうかそうか…と頷いた。
『だからね、陸奥守様…。』
私は息を吸い込む…
すると陸奥守様は真剣な眼差しで
私から視線を逸らさなかった。
『今まで見えてきたものが
見えなくて怖いのなら…
今度から聞いてみませんか…?』
ぽかん…とした表情の陸奥守様に
私はふふ…と微笑んでしまった。
予想外でしたか…そのお顔…っ
陸奥守『聞くとはなんじゃ…
何をわしは聞けばいい、』
『見てきたものぜーんぶです。
私が今何を考えていますか?
わからないのなら聞いてください
私は今、お腹減っています。』
お腹に手を当てると
陸奥守様は更に首を傾げた。
陸奥守『…よぉ、わからんのう。』
『見えないもの探したって
見つからなければ意味がない
なら…聞いて気付きましょう。
私達には言葉があります。』
心と心が繋がっていたのなら
言葉と言葉を交わす事だって
きっと必要になる時が来る。
陸奥守『言葉…か、
動物達には言葉がない時は
どうしたらいいと思うんじゃ』
『それは勘です。』
陸奥守『ぶはっ!』
陸奥守様は耐えられないと
ばかりに大笑いをし始めた。
陸奥守『勘とな!!
それはまっこと卑怯ぜよ!!』
『言葉ではどうにもならない
見えもしないならば一つ…。
勘で貫きましょうきっとイケル』
説得力の欠片もない発言
それでも陸奥守様は笑いが止まらない
陸奥守『腹が…っ…腹が…っ
いとうて堪らんっ…っ。』
私は御守りを陸奥守様の
胸に力強く押し当てた。
『だって…貴方が見てきたものは
全部全部…本物だったんですから。』
だからきっと、大丈夫。