第27章 盲目。
『貴方だけの見てきた世界は
貴方だけにしか分かりません。
感じてきたものも貴方だけ…。』
陸奥守『ほお…。』
陸奥守様はぎゅ、…と
私の事を抱き締めてくれた。
今感じる温もりも貴方には
貴方の私には私だけの温もり。
『暗くなって見えないのなら
耳をすませてみましょう。
見てきたものが聞こえてきます
色んな音に溢れた世界が広がる
ねっ、暗くても怖くない。』
陸奥守『………っ、』
笑い合える仲間がいるんだ
目が見えなくたって怖くない
何も怖くないよ…だって…
陸奥守『……はは…そうかそうか。』
こんなに素敵に笑えている。
陸奥守『それは盲点だったぜよ。』
『今剣様の御守りもこの部屋だって
愛で溢れたぬいぐるみ達なんです。』
皆が私に向けてくれた形のある愛…
『ね、陸奥守様…
知ることも…楽しいでしょう。』
陸奥守『………クッ…はっはっはっ
おんしゃにはほんま敵わんのう』
御守りを彼の胸に押し付け
私も頬をすり寄せた。
私が寂しくなって触れたくなった。
『触れることだって…大事…
温もりも鼓動も全部伝わる…。
ふふ…陸奥守様…あったかい…。』
陸奥守『………っ、まっこと…
眩しくて…前が見えんぜよ。』
『瞼を下ろしましょ…眩しいなら
見るだけじゃ、見つけられない
大切なものも感じられる…。
ねっ?陸奥守様…暗いのも
眩しいのも悪くないでしょう?』
がば…と大きな手が包み込む
苦しいぐらいの抱擁に驚く、
けれど…離れたくはなかった。
陸奥守『そうじゃな…
こういうのも悪くないきに。
頭が上がらんのう…
おんしゃにゃあ…。』
聞こえる…聞こえる彼の喜びは
満ち溢れた音ををしている。
嬉しそうな音が溢れる今
彼に纏う影など見当たらない。
あるのは…歓喜…
彼だけの輝きを見つけたらしい。
陸奥守『わしだけの世界か…悪くない
うん、悪くないぜよ。』
グッと拳を握り締めた陸奥守様は
清々しい笑顔で微笑んでいた。
陸奥守『よし、任せちょけ!
わしだけの世界ちゅーもんを
見つけてみせるぜよ!!』
彼の意気込みは何よりも輝き
眩しくて、でも…とても大切な夢。
『楽しみですね…陸奥守様。』
包まれた温もりは
私にとってとても幸せな事…、