第26章 波乱。
夜は必ず訪れる。
だから共に戦うと言ってくれた
長谷部のご飯に睡眠薬を盛る。
熟睡してくれた長谷部を
皆に任せて私は自室に戻る。
部屋にいればいいよ…って
言われたけど式神でも寄越して
戦わせる気かアイツは。
『………はぁ、』
こうも、事が進むとは気持ち悪い…
私がクロに行おうとしていた
策というのもこの本丸に住み
引きこもってもらおう作戦…だった
戦わず血を流さずに
前審神者の霊力を私の霊力に
置き換えようと思っていた…
けれど、クロは自分から
ここに居ると決めたようなもの。
考えが見透かされている…?
いや、初めて会ったんだ。
そんな訳が無い…偶然だきっと。
『眠い…。』
緊張感が無いとか思うけど
真っ暗な部屋に布団を敷いて
その上にずっと座っていれば
暇である、暇すぎる。
寝てしまおうか…
霊符そこら中に貼りまくろうか
いろんな案がとぶけれど
結局はただ、その時を待った。
ギシ…
『………っ。』
人のような足音が聞こえた。
ギシッ…ギシッ…
足音は確実に近付いていて
音が近くなってくると襖に
月明かりが照らして影がうつる
『………人、』
だとは、思う。
大人背丈ほどの影の大きさに
霊符を握る手が汗をかく。
ギシッ……ピタッ
案の定、私の部屋の前で止まる。
部屋の中で暴れると
皆が買ってくれたぬいぐるみが
傷ついてしまうから外行きたい
『………。』
生唾を飲み込んでその時を待つ
が、
聞き覚えのある声に反応が遅れた。
御手杵『起きて…いるか。』
その声はどこか苦しそうで
縋るような声に私は飛び出した
引き戸を思いっきり開くと
御手杵様が顔を紅潮させて
私を見下ろした。
『御手杵様!どうされまし…っ』
それは一瞬の出来事だった。
私の目の前に御手杵様の手が
迫っていて口を抑えられて
部屋の中へ押し倒された。
バタンッ
激しい音を立てて畳に
尻もちから頭を打って
叫ぼうにも御手杵様の
手が私の言葉を遮った。
御手杵『大人しく…しててくれ。』
『ん…ぐ、』
大きな手が口を覆い御手杵様も
私に乗り上げてきた。
(これが…、ゲーム…なのだろうか…)