第26章 波乱。
前審神者、正式名クソや…ゴホンッ
全身真っ黒、心も真っ黒
だから" クロ "に決定した。
この審神者部屋からは出ず
大人しくしていれば政府の
足止めもしてあげると言えば
何の迷いもなく頷いてくれた
クロ『僕からは、何もしないよ。
ただ、これから毎晩…君には
僕が仕組むゲームに強制参加だ
うまく出来たら刀剣達には
一切手を出さないよ、僕はね。』
何か、企んでいるような
言い方だったけれど了承した。
私が審神者部屋へ封印の結界を
すればアイツは出てこないから
クロ『君は防御に特化し過ぎて
いくら僕でも突破出来ないんだ。
まぁ…内側から壊せばいいけど
今は楽しみたいからしない。』
今はとか僕からはとか
いちいち発言がムカつくから
結界をかけまくった。
クロ『楽しみだなぁ…刀剣達で
遊んだけど審神者は初めてでね。
手加減出来ないかも…
頑張って僕を楽しませてよ。』
お断りである、
今度ご飯に薬剤盛ってやる。
審神者部屋に結界をかけている
間もずっと長谷部は泣きそうな
面持ちで私を抱き締めていた。
かなりやりにくいけど
仕方ない…長谷部は頑張った。
『長谷部…大丈夫だよ。
私が負ける訳ないでしょ…。』
長谷部『主が…壊れる所など
見たく、ありません…。
主…お逃げ下さい。
人の弱さを知り尽くしている
あの方の道具になれば…心が
破壊されかねません。』
首に回された腕が震えている
防御に特化しつつも
内側は弱い…か確かにクロの
言い分は間違ってはいない。
『泣き虫だねぇ…長谷部。
大丈夫あいつのゲームなんか
気にしなくていいから、ね?』
腕を伸ばして肩にうずめる
頭を撫でれば更に腕が締まる。
ぐぇ…って思ったけど
伝わる温もりが心地よくてその
腕に片手を添えて頬を寄せた。
『ごめんね…守るって言いながら
アイツの言葉に従う事になって』
それは事実の事だから謝ると
必死に首を振る長谷部に微笑んだ。
ありがとう…長谷部。
耐えてやる…そして力を付けよう。
二本の刀…届けば状況は変わる。
殺す、事になるだろうか
嫌な未来を想像しつつ時を過ごす。
待ち受けるゲームがあろうとも、
けれど、始まるゲームがまさか
刀剣を使っての罠だとは知らない。