第26章 波乱。
御手杵『すまない…。
体の自由がきかないんだ…っ』
『ん…ぐ、』
霊符を握る手を御手杵様の
手で抑えられ身動きできず
塞がれた口は息苦しさを伴う
御手杵『なぁ…助けてくれないか、』
どうしろと…、
ジタバタと暴れながら
御手杵様から距離を置きたい
状況を整理したいのは
私も同じなのですが!?
ふと、御手杵様から流れる
霊力に不穏な影がうつる。
(………クロ、の霊力。)
私の霊力ではない力に覆われた
御手杵様は息を荒くさせ私に…
顔を近づけた。
御手杵『解放、してくれねぇか』
ちゅ…と御手杵様の唇が
首筋に触れてぬる…と舌が這う。
『ん…っ、』
御手杵『はは…綺麗な肌だ…。』
ぬる…と這うその舌に身じろぎ
なぜ、こんな事にと混乱した。
御手杵様は興奮するように
舌を這わせながら歯を立てた。
『ん゙…っ。』
ぴりっ…とした痛みがはしり
恐る恐る御手杵様を見つめれば
興奮しきった瞳で私を見下ろす
御手杵『これ、も…アイツの力さ』
『ひ、ぅ…。』
耳元で囁かれ耳穴に吐息がかかる
ゾクゾクとした刺激に震え
何とかもがこうとするも動けず
握っていた霊符も御手杵様の
手の力に負けて掴み損ねる。
御手杵『本当は…こんな事…っ』
ツラそうな御手杵様の表情が
救いを求めるようだった。
『ん…んん、』
離して欲しいこの手を
そうしたら…貴方に触れられるのに
御手杵『俺は…
突くことしかできねぇぜ。』
まるでクロの霊力が興奮剤の
効果があるのか御手杵様の様子が
変わってくる。
まるで、獣。人の姿をした…、
御手杵『あんたを
楽しませられるかわかんねぇや』
彼は私にのしかかり掴んだ手と
抵抗しようとする手をまとめて
頭上で布のようなもので縛る。
強く…強く、縛り上げ
ギッチリとして動かない…っ
『…っ…ぅ』
痛みがあるのに御手杵様の
胸を這う手に体が疼く。
御手杵『怪我はさせたくねぇんだ…』
そう、呟いた瞬間。
ブチ…ッ。
着ていた服を左右に割いた。
いとも簡単に引きちぎった
彼の手にもう止まる気配はない。
御手杵『さぁ、楽しもう…な?』
どこか…クロの影を纏わせて…。