第25章 対面。
クロ『………、なぁ一つ
いい案をあげようか。』
クロは長谷部を見つめて
言葉を投げかけた。
長谷部『主を、……離せっ。』
今にも自分の本体を抜いて
切りかかろうとするも命令が
体を縛り付けるのか動けない
長谷部『主…っ。』
クロ『お前の忠誠心好きだよ…
真っ直ぐで揺るがない所とか。
だからさぁ…僕。』
グッ…と伸し掛るクロの…手…。
『ッ……ぁ。』
クロ『壊したくなるんだよね。』
首の骨が折れてしまうのでは
ないかとさえ思う重圧に意識が
とびかける中、長谷部が叫ぶ
長谷部『や、やめてくれ。
主を…頼む…殺さないでくれ。』
クロ『………ハハッ!』
私は何を…やっているのだろうか。
首を絞める手に自分の爪を
突き立ててクロを睨んだ。
クロ『へぇ………。』
その行動にクロは楽しそうに
微笑んで私を見下ろす。
『…っ…は…。
長谷部に…手…出したら、私が殺す…っ』
クロ『それも…いいかもね。』
パッと離された手に
入り込む空気に耐えられず噎せた。
『げほ…けほ…ぅぇ…っ』
長谷部『主…大丈夫ですか!主…っ』
死んでないから叫ぶんじゃない。
隣に寄り添い庇い立てるように
身構える長谷部の服を掴んだ。
噎せながらクロを睨みつければ
優しそうな場違いな笑みで見る。
クロ『僕の提案に乗ってくれれば
殺さないでやってもいいよ?
審神者だって君にあげる。
僕はただ、楽しい事がしたいだけ。』
審神者はついでだったんだよと
呟いたサイコパスに殺意がわいた。
『…っはぁ…、提案…って、』
クロ『うんうん、話の通じる子は
楽でイイね…君の泣き顔も僕好み。』
気色悪っ…。
長谷部『主!乗らなくていいです。
俺が…俺の刀で…。』
掴んでいた服を引き驚く
長谷部を手で宥めながら呟く。
『大丈夫…長谷部。
落ち着いて…大丈夫だから。』
悔しそうな長谷部…知ってるよ
前主だもの…切れない事くらい
忠誠心が強い貴方だからこそ
この場に居る事を許可したんだよ。
『クロ…、答えて。』
答えを促せば
悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
あまりにも残酷なその案は
私の中で木霊した。
クロ『僕の玩具になれ。』