第25章 対面。
長谷部『ふざけるな!!!』
私の代わりに怒りを代弁した
長谷部は息を荒げていた。
もはや私の静止も届かない
長谷部は私を抱き抱える。
温もりに包まれれば
恐怖よりも安心感に満たされる
『長谷部…っ』
長谷部『断じて俺が許さないっ』
ぎゅ…と力が込められて
その手は少し震えていた。
前主との対面に震えている
それは恐怖?それとも怒り?
クロ『僕のモノになれば
審神者はあげる刀剣達にも
僕からは手を出さない…。
ねっ、悪い話じゃないだろ。』
両手を広げて、どう?と首を
傾げるクロに私は言葉を失う。
刀剣達に手を出さない。
それは何よりも魅力的な誘い
けれど、それでは納得しない。
私以外の皆が首を横に振る。
『クロ…っ』
私は彼に呼びかければ
優しげな微笑みで私を見つめた。
クロ『なーに、』
『力が、欲しい。』
貴方にも勝てるような
皆を守れる力が欲しい。
クロ『それで?』
『貴方の玩具になるのは嫌だ…
けど、刀剣達全てを守る為に
貴方の道具になってやる。』
長谷部『何を言ってるんですか
主!考え直して下さい!!!』
罠だろうがなんだろうが
刀剣達を守りたい、ただ…それだけ
『だから…刀剣達に手を出すな。』
私の呟きに長谷部は
強く私を抱き締めた。
嫌だ…嫌だと駄々をこねる
長谷部は弱々しく震えた。
『長谷部…はーせべっ』
長谷部『俺が…弱い、から
主をアイツの手に…嫌です。
主は俺がお守りします。』
心まで守られているような
感覚に私は彼の背中を撫でた。
『うん…大丈夫。
守られてるよ、わたし…
だからね私も貴方を守る。』
ゆっくりと撫でれば
興奮していた彼の呼吸も落ち着く
『クロ…、貴方の道具になるけど
思い通りにはさせないから。』
そう言いつければ
クロは何度も頷いた、まるで
" 知っていた " かのように。
クロ『これからよろしくね、
僕の大切なお人形さん。』
その言葉に私は心臓を
掴まれた気がした。
守る為に犠牲が必要。
たとえそれが、自分の身であっても…