第25章 対面。
前審神者が来るよ。
そんな簡単に言える内容じゃ
無いけれど言わなくちゃ。
三日月『他に言うことはあるか?』
言った結果がコレである。
物凄く怒られています
にっこり微笑んだ宗近様だけど
その背後には鬼を背負っている
『無い、です。』
無言の重圧は重苦しい…
宗近様は私の隣へと歩み寄る
三日月『俺が怒っている理由が
わかるか…ん?』
『お茶しよう…って言ったから』
しゅん…と肩を落とし
隣に腰を下ろした宗近様はの手が
私に伸ばされ肩がはねる。
三日月『そうではない…なぜ、
一人で決めてしまうのだ。』
伸ばされた手は私の頭を
優しく包んで彼の胸元へ
引き寄せた。
バランスを崩しぽすっ…と
宗近様に寄りかかると腕が
背中を抱き締めてくれた。
三日月『俺はそんなに…頼りないか…』
悲しそうな声音が聞こえ
私は違う…と首を振った。
『頼りにしてます…だから、
私は逃げずに立ち向かえるんです』
三日月『怖くはないか?』
三日月様の手が背中を
上から下へと何度も撫でて
私の鼓動を落ち着かせる。
『怖い…です、』
三日月『無理をしおって…。』
撫でる手に力がこもる
強く彼は私を包むまるで全てから
守るように盾になるように。
誰かが傷つく盾など必要ない
けれど…温もりが恋しくて私は
彼を突き放せない。
胸元の服を握り引き寄せるように
掴めば宗近様は寄り添ってくれる。
『弱いからこそ…
強いものに力を求めるんです。
例え今が弱くても
簡単に死んではやりませんよ。』
三日月『あぁ、わかっておる…
傍についておるからな。』
言葉が胸に染みて
じんわりと温かくなった。
上手くいく保証なんてどこにもない
けれど、失敗するとは限らない。
『明日、前審神者と会います。』
三日月『………あい、わかった。』
決意を固めるように
変わらぬ過去を突きつけるように
それでも、宗近様の手は離れない。
守るために生きるために
私の出来る最大限を…、
前審神者が来るまであと…。