第24章 崩壊。
キスの嵐を味わって
満たされる心と迫り来る不安
縋り付きたい手を伸ばせずに
言葉にならない叫びを隠す。
護る為に闘うと言うことは
護る為なら犠牲があってもいい
そう聞こえてならない。
犠牲なんて欲しくはない。
どんなに足掻いても
夜は必ず訪れる…そして、朝は来る
堀川『こんばんは…。』
現れた堀川様に私は身構える。
手に持ったお盆の上には
湯呑みが二つ乗っていた。
彼は普段着のような服装で
現れるものだから…寝る気は
無いのだと早めに察する。
堀川『えっと、
何から話しましょうか…。』
あり過ぎた事柄に
お互いに話をきりだせない。
とりあえず座布団を用意して
置いていたのでそこに誘導する。
なんの抵抗もなく堀川様は座り
向き合った状態になる。
『あの、…堀川…様。』
堀川『あっ、そうだ。』
自分から重い沈黙断ち切ろうと
したのに堀川様はそれを止めた。
堀川『お茶、用意したんです。
冷めないうちに頂きましょう。』
お茶…を飲める状況下では無いが
喉がカラカラなのは事実なので
目の前に置かれた湯呑みを一つ取る
堀川様ももう一つの湯呑みを
持つとグイッ…と飲んだのを見て
私も乾いた喉へと流し込んだ。
渋みの少ないお茶の香りと
味が舌に伝わりこくん…と
飲み込んだ瞬間…
『………は、れ?』
手足が痺れたかと思えば
持っていた湯のみを落とした。
『…っ!?………っ。』
湯のみを拾えず震え始める
体に慌てもはやパニックである。
堀川『本当…足りない審神者さん…』
とん…と肩を押されて
私は抵抗する力も無く倒れ込む。
仰向けになる寸前に
堀川様を見ると影を纏った瞳で
私を見下ろしている。
堀川『警戒心…持った方がいいですよ
痺れ薬入ってる事も…ありますしね?』
入っててたまるか!…と
思いつつ力が抜けていく体に
不安と恐怖がこみ上げてくる。
『…っぁ…ほり、かわさま…っ。』
堀川様が四つん這いに近付き
私を組み敷き見下ろした。
堀川『簡単に他人を信じちゃ
ダメですよって教えてあげる。
抵抗したくても出来ないでしょ?』
『ゃだ…堀川様…っ、ねぇ…。』
堀川『僕も結構…邪道でね…。』
私の声など受け入れてくれない。
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