第23章 自我。
宗近様との戯れを終え
自分の部屋となった部屋へ
向かい襖を開ければ汚い…
間違えた、薄汚い白い布が…
いやそんなに変わんないな。
とりあえずボロボロな
白い布を被った人がいた。
山姥切『…………。』
ぬいぐるみに囲まれた部屋に
一際目立つ彼の姿が目に焼け付く
『山姥切様…、』
山姥切『居たくて…居るのではない。』
『………ごめん、なさい?』
いや、私が悪い訳じゃないけど
元の原因は私のせいだから…。
山姥切『……写しが居ては邪魔だろ
俺はここを動かん気にするな。』
新しいタイプの駄々っ子のようだ。
大倶利伽羅様の時とは違い
いじけタイプでうじうじしている。
『………、』
私は目の前まで近寄って
しゃがみ込みふかく被る布を
軽く引っ張ってみた。
写しとか…気にしないのになぁ。
ぐいぐい…と引けば
ギラッ…と私を睨みつけた。
山姥切『離せ!!!』
パァンッと彼の平手が
私の手にあたり音を響かせた。
ビリビリとした痛みが襲う。
手入れをしたからと言って
絆を深めた訳ではない…。
『………っ、』
痛みで赤くなってきた
手を抑えながら睨みつける
彼の瞳を見つめた。
山姥切『………っ、
俺に近寄るな!俺はお前を
信じた訳では無い!!!!』
激しい激昂…
降り注ぐ彼の敵意。
『ごめんなさい…。』
不用意に近づいた私のせいだ。
彼は人に触れられるのを
極端に嫌っているというのに
山姥切『………っ、クソッ。』
固く握り締められた手が痛そうだ
『山姥切様…。』
写しというのは貴方を
それ程、縛り付けているのですか。
山姥切『見るな、俺を。
その目で俺を見るな…っ。』
それはあまりにも苦しそうな悲鳴。
唇を噛み締める彼に
私の方が泣きそうになる…。
『それは…嫌です…。』
山姥切『何…っ。』
『無関心は人を殺します。』
見なくなってしまったら
誰が貴方を救うのですか…っ。
『貴方も私の大事な家族です。』
まだ繋がらない溝は深いけど、
山姥切『………戯言を言うな。』
彼の言葉は棘を増すばかり…、
彼の心は深く傷ついている。
生まれた時から彼は叫ぶ…。
(貴方に届く言葉とは何か…。)