第23章 自我。
その夜があってから
私は霊力を使い放題だった。
フルハッスルをかまし
それは見事に疲れ果てました。
大太刀、太刀、打刀、脇差
ありとあらゆる手入れをした。
短刀の皆さんからは無理を
しないでくださいと言われたよ
けれどそういう訳にもいかない…
現実も前審神者も待ちはしない。
時間は残酷にも進みゆく…。
資材部屋に住み着き残っている
資材の片付けと今後の使い道を
考えている。
全刀剣の手入れには意味がある。
前審神者の侵入を許した
あの傷跡の真犯人を見つける為
吹っ切れて探偵気分ですよ
ワトソン君は居ないけれど、
長谷部に頼めば忠犬わんこに
成りきって手伝ってくれるかな
…あぁ…うん…あぁね、…やめとこう
尻尾振ってべったりとくっつく
わんこ長谷部しか想像つかないや。
三日月『何やら…
面白いことを考えているな。』
音もなく入ってきた
宗近様に前よりは驚かないものの
開けっ放しの襖にため息をついた。
『………不用心ですね、私。』
三日月『責めるべきであろう所だが
仕方あるまい…疲れているのだ。』
近付いてきた宗近様に
やっていた作業をやめ、
虚空を見つめながら
隣に座る宗近様に寄りかかる。
『………疲れてますか、私。』
三日月『見てる限りはな…
どれ、癒してやろうか…。』
肩を抱き抱き締める宗近様の
胸に頬をすり寄せた。
泣かない…泣かないけど…
心が痛む…ズキズキ…激しく痛む
『見つけ、ました。』
宗近様の心臓の音を聞きながら
肩に触れる手に力がこもる。
三日月『………そうか。』
誰、とは聞かなかった。
『見つけたく…なかった。』
手入れしている間に見えた影
瞳の奥に宿る疑惑と憎悪。
浮かべた笑みは張り付いて
裏に隠した素顔を隠す。
三日月『あぁ…そうだな。』
全てを汲み取った言葉…。
『私は刀に殺されるのでしょうか』
三日月『させぬよ…任せておけ…。』
宗近様は私の顎に指を添え
上を向かせるとゆっくりと
唇を重ねた。
三日月『………っ、ん。』
くちゅ…くちゅ…と絡む舌。
『……ん、ぅ…。』
苦しさに彼の腕に爪を立てれば
宗近様は私を見つめる
三日月『煽るな…。』
その声はどこか嬉しそうで…