第21章 褒美。
わらわらとある一室の前に
短刀様や脇差に太刀や大太刀
いずれも私を審神者と認めて
くれたであろう人達が立ち並ぶ。
短刀様達は私の姿を捉えると
ぱたぱたと駆け寄ってくれた。
五虎退『主様…
お、…おはようございます…。
あの見て欲しい物が…っ、』
『見て…欲しい物、』
すると乱様は私の手を握り
こっちこっちと導いた。
乱『僕達頑張ったんだよ!
大きな棚とか大きものとかは
手伝ってもらったんだけど!』
乱様の手をとり一期一振様は
支えるように肩に手を添えて
歩く手助けをしてくれた。
だからおばあちゃんみたい。
そんな事を心でツッコミながら
一室の前の襖に立ちそっと開ける
この本丸で審神者部屋程の
広さがある空部屋だった場所に
何が詰まっているのだろうか。
スッ…と開け放たれた襖。
中を覗けば朝日が照らし
中の様子を鮮明に私の瞳へ
映し出した。
『わぁ…、』
部屋にあるのは沢山の可愛い小物
ぬいぐるみやクッションが溢れ
テーブルや棚の上にも置かれた
コンパクトサイズのぬいぐるみ。
大きな物から小さな物まで
この部屋を明るくする演出のよう
『これは…一体。』
よくよく見ればそれは
物置部屋にあった私物の物ばかり
あの場所から全てここに移動され
可愛くデコレーションまで施され
この部屋の明るさを強調している。
秋田『僕達…主様にプレゼント…
したかったんです…どうですか?』
厚『喜んで…くれるか?』
私は嬉しさで信じられない光景に
言葉少なく呟いた。
『言葉が…見つかりません…、』
五虎退『主…様…?』
『嬉しすぎて…この感動を
どう伝えたら良いのでしょう…、』
ぼろぼろと溢れ出る涙に
五虎退様は慌てているが
周りの皆様はバンザイをして
喜びをあらわしていた。
乱『わぁぁい!
サプライズ大成功!!!』
本丸内に響くほど
大歓声の中…私はひたすら
涙を流し続けた。
小夜『…………。』
小夜様が傍らに寄り添うと
小夜『…………皆、頑張った。』
"俺も喜んで欲しかった…"
そう呟いた声は確かに聞こえて
更に泣き出したのは言うまでもない。