第21章 褒美。
清々しい朝を迎えたね
腰の激痛に耳の負傷で
結構ぼろぼろだけど!
薬研『………大将、悪化してないか?』
『不可抗力です、薬研様。』
だからその手に持っている
謎の液体が入った瓶を置いて下さい。
薬研『見張り付きだったろ…』
その見張りが狼でしたとは
言えないけれど隣に控える
宗三様はあっけらかんと応えた
宗三『良い営みでした。』
良いと言われてる時点で
喜ぶべきなんだけど…駄目だ
薬研様のその瓶が怖くて
宗三様の影に隠れる事にした。
治るどころか殺されそうな
迫力の薬研様に眉根を下げた。
一期『まぁまぁ…薬研
一旦落ち着こうか。』
薬研『一兄は落ち着きすぎだろ…』
薬研様の少し後ろで
座っていた一期一振様が制止し
謎の液体はことん…と置かれた。
一期『いや?これでも結構
我慢している方ではあるんだよ?』
薬研『だったら、今すぐその
怒りに震えた手を止めてくれるか…』
一期一振様の拳を見ると
強く握りしめるかのように
わなわなと震えていた。
宗三『兄弟で似た者同士ですね』
薬研『原因はあんただけどな。』
バチバチと喧嘩が始まりそうな
雰囲気の中で襖に影がうつった。
背丈からして二人の影は
短刀様だと思う。
平野『失礼しても宜しいでしょうか』
礼儀正しすぎる口調に
神が舞い降りたと喜んで催促を
早めるとゆっくりと襖が開いた
前田『失礼します。』
平野『失礼します。』
まるで双子のような洗礼された
動作に感動していると前田様が
私の姿を捉えた。
前田『主様、お部屋の準備が
整いましたのでご足労願いたく…』
部屋の、準備…?
平野『皆がもう集まっております。』
部屋の準備に皆が集合…
ダメだ訳分からん。
とりあえず行こうかと
立ち上がろうとすれば
一期一振様が紳士の如く
一期『さぁ、お手をどうぞ。』
『………ありがとうございます。』
私をエスコートして下さった。
お姫様気分で喜びたいが
腰の痛みが姫から遠ざけて
(介護だわ、コレ。)
おばあちゃんになった
気分でその手を握る。
その場にいた全員が私の
後に付いてきて、一期一振様の
案内のもと目的地の場へと向かう。
この先に何があると言うのだろう。