第20章 満開。
絶対安静監視付きの元で
朝は過ぎ昼を越え夜が訪れ
宗三様は寄り添うだけで
なかなか語り出してはくれない。
『宗三様…小夜様の元へ
いってもいいのですよ…?』
あとは寝るだけですし…、
布団へ横になっている私に
宗三様はゆっくりと近づき
隣に座り顔を近づけてきた。
宗三『それでもいいのですが…。
貴方に聞きたい事があるんですよ』
『聞きたい事、』
皆それぞれに悩みがあり
打ち明ける場所を求めている…のか
宗三『江雪兄様があんな風に
微笑む姿…とても羨ましかった。
最近の様子はあまりにツライ
表情ばかりでしたからね。』
滲み出る不安は周りさえも
影響を及ぼしていた。
宗三様は私の頬へ近づき
ちゅ…と軽く口付けた。
『あ…の…、』
宗三『見ているだけだった
今まではもう嫌なんですよ。
知りたいんです
…人の身となった自分の事を。』
『…んっぅ、』
宗三『貴方の体には触れれば
見つけられる気がするんです。』
ねっとりとした甘い口付け
顎を引き入り込んでくる舌
唇を無理やり舌で押し開けて
唾液を流し込み舌でかき回す。
飾られるだけの刀時代を生き
この本丸での地獄も味わい…
生きることへの希望が
"生きる意味"を得ることだった
江雪様と小夜様の様子を見て
手に入れたくなったのだろうか
希望というものがなんなのか。
宗三『飾られるだけの価値が
僕には備わっているんですか。』
『っ…宗三様…。』
宗三『それとも…貴方も僕を
得る為だけの飾り物にしますか』
それは彼だけの悩み。
『しませんよ…私は。』
宗三『本当に…?』
『貴方は生きているのです。
ただの刀でも道具でもありません』
宗三様は私を抱き締めて震えた。
『家族と共にこの本丸で過したい
ただ、それだけを望んでいます。』
宗三『………出して、僕を。
魔王の悪夢から出してください…』
籠の中の鳥…宗三様は
見られる事から心を閉ざし
この本丸でも鍵を付けられ
その広げられなかった羽根を
伸ばし自由を求めていた。
『鍵なんて私が壊します。』
そっと頬へと伸ばせば
私を見つめぽろ…ぽろ…と
透明な綺麗な涙が手を伝う。
自由を求めた鳥は空に憧れる。