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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第19章 戦争。


私は多くを語らなかった。


近々出陣すると伝え、
前審神者の行方はわからず


本丸に訪れた黒猫の事は
薄々勘づいていたらしい。


各々の面持ちで頷き
また少し考え込むように
黙り込んだ。


『やるべき事は主に手入れであり
刀剣の方々には稽古をして頂き、
体の動きに慣れてほしいですね。』


三日月『うむ…心得た。』


一期『弟達にも声をかけておきます。』


『くれぐれも慎重に…出陣に
闇を抱えている事も確かです。』


無理な出陣は傷を深めるだけ
行きたくないのならそれでもいい。


私がその時は前に出ます。


口に出したら長谷部の怒号が
とんでくるので言わないけど…、


『ん…?…小狐丸様?』


暗い表情のままの小狐丸様に
声をかけると静かに呟いた。


その声はどこか焦りをまとい


小狐丸『ぬしさまの結界を
疑う訳ではありませんが…。』


『遠慮なくどうぞ…?』


私は彼の言葉に重ねて伝えれば
意を決して言葉を紡いだ。


小狐丸『もし…破られたとしたら…』


長谷部『主に限ってそのような事!』


『長谷部!!!』


小狐丸様の発言に長谷部は
食いかかろうとした所を止める


おすわり、と指を床へ示すと
しゅん…となって座る長谷部。


あまりの落ち込みように
よしよし撫でればこんのすけが
尻尾を長谷部へ擦り付けた。


癒してあげよう我が尻尾…ってか


『小狐丸様…お顔を上げてください』


小狐丸『失言…でした。』


『まさか!素晴らしいご意見です
どんな些細な情報も必要ですから。

結界が破られたら…ですよね。』


少し元気が出てきた長谷部から
手を離し小狐丸様へ向き直る。


『前審神者をぶっ飛ばします。』


小狐丸『はっ?』


一期一振様と三日月様は
ぷるぷる震えて笑いをこらえる


長谷部は目を輝かせて見つめる


『各刀剣に御守り及び霊符
結界代わりの札をお渡しします

私が辿り着くまでの時間稼ぎに
なる事をお約束しますよ。』


言葉にするなら感動に似た
表情で見つめられ頭を深く
下げてくれた。


小狐丸『お見逸れしました。』


『え…いやいやいや…っ。』


頭を上げて下さいな…と
頭を撫でれば嬉しそうに
撫で受けしてくれた。


護るためなら尽くしてみせる
あらゆる手を考えなければ…。



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