第16章 期待。
『清光…あと、でね…?』
何言ってんだと思いつつ
とりあえず落ち着かせよう
最近構っていなかったから
清光の寂しさゲージは限界…
そしたら襲われるのは私だ。
清光『へへ…主ぃ…。』
清光が私のお腹に抱きつき
すりすりと擦り寄ってきて
蛍丸『いいな、俺もぉ…。』
それに続いて愛染様から
抜け出した蛍丸様が飛びついた
若干絞められている気がする…
(内蔵飛び出そう…。)
苦しくなりながらも二人の
頭を撫でれば嬉しそうに微笑む
あぁ、可愛い…。
明石様と愛染様は唖然と
私を見つめやれやれと肩を落とす。
国行『審神者って凄いんやなぁ…』
愛染『うん…すっげぇ安心感ある…』
それはアレか、母ちゃんとでも
思ってるんですかね?ん?
『とりあえず…お腹空いた…。』
愛染『こんな状況でも腹減るとか
肝が据わってんのか素直なのか…』
『欲には素直ですから…。』
ご飯食べたいなぁと思えば
開け放たれていたドアから
薬研様が姿を現した。
その手には食事であろう
お椀とお盆を持っていた。
『薬研様…、』
呼びかけに応じずものすごーく
不機嫌が滲み出たオーラで呟く。
薬研『安静って知ってるか、大将。』
『は、い…。』
薬研『薬も治すためにある。
けど、万能じゃないんだよ。』
『……ハハッ』
薬研『俺に何か言うことあるよな?』
『すみませんでした!!』
頭だけ下げるとはぁ…と
大きめな溜息が聞こえて落ち込む。
怒らせてしまった?心配かけた?
迷惑をかけてしまっただろうか…
薬研『腹減ってるだろ、ん…。』
かたん…と置かれたお盆
乗せられたお椀の蓋が開けられ
優しい香りがふわっ…と香る。
薬研『熱いから…気を付けて食えよ
あとから薬もってくるからな。』
私よりも母ちゃんな薬研様に
鼻のあたりがじん…と熱くなる。
『やげん…さまぁ…。』
薬研『お疲れ大将…あんたすげぇよ。』
『がんばりましたぁ…。』
ぽろぽろと泣き出した私に
薬研様以外が慌てて慰め始める。
あぁ…そうか、私…。
薬研『よく頑張ったな…大将。』
(認められたかったんだ…。)