第16章 期待。
寝転んだ私に覆いかぶさり
今にも迫ってきそうな明石様が
残念そうにしょげていた。
国行『なんや、蛍丸
邪魔したらあかんやろ?』
蛍丸『国行ばっかり…
ねぇ主…俺もする。いいでしょ?』
はいどうぞなんて言えません。
蛍丸様…そもそも同意ではない。
『あの…ですね、蛍丸様…』
蛍丸『ね、お願い…。』
何、そのキラッキラした瞳は…
国行『主はんやて、自分の
キスの方がええやろ?なぁ…。』
見下ろす明石様に私は
呆然と眺めて頭を悩ませた。
さて、蛍丸様とは明石様の
どちらを先に止めるべきか
最早どちらも手遅れ…?
すると扉が開いて救世主が一人。
愛染『はっ?何やってんの…?』
『愛染…様、』
愛染『お、主さん目が覚めたんだな!』
『助けて…、』
愛染『っ!?』
驚いた愛染様は手慣れたように
グイッと明石様と蛍丸様を掴む。
愛染『主さんが困ってんだろ!!』
国行『何言うてんの国俊ぃ、自分は
主はんにご奉仕するつもりで…』
愛染『それは寝込みを襲う、だ!!』
蛍丸『俺は主とちゅーしたい。』
愛染『ちゅ…ちゅー!?』
私よりも顔を赤くして慌て
汗をふきだした愛染様が
また可愛くて仕方ない。
本来なら私の反応なのに…
慣れとはなんと恐ろしいことか、
蛍丸『国俊も…する?』
何言ってんですか蛍丸様!?
愛染『す…っ…する訳ないだろ!』
それはそれで複雑っ!!
二人のやりとりを上半身
起きながら聞いていれば
私の肩を抱いた明石様が囁く。
国行『やーっぱ…自分と…な?』
『明石…様…。』
国行『気持ちよーく
とろとろにして欲しいんやろ?』
『………っ。』
急に昨夜の事が記憶に蘇り
顔が赤く染まった気がする。
国行『自分に身を任せてみぃ…』
迫る唇にどくん…と高鳴り
抵抗もなく唇が合わさると
思った瞬間にもう一人の
登場によって展開が変わる。
バアァァァァンッ!!!
清光『あぁぁぁぁっ!!!』
勢いよく開いたドアは軋み
開けた本人である清光は叫ぶ。
『きよ…みつ。』
今正に襲われかけている私に
清光は我慢ならないと飛びついた
清光『主!?俺とは!?』
誰か私の声を聞いてください…