第16章 期待。
むに…むに…
真っ暗な世界にとけ込む中で
頬をむにむにと遊ばれている
感触があった。
国行『………フッ。』
こいつ笑いやがった。
さんざん遊んでるくせに
笑いやがったよこの人。
その顔拝んでやるぜと
活き込んで目を開けると
明石様が私を見下ろした。
国行『起きはったか…、』
『あっ…はい、』
先に話しかけられて
思わず返事をしてしまった。
タイミングを逃して怒り損ない
やれやれと起き上がれる。
背中支えてくれた明石様は
気まずそうな表情で呟いた。
国行『えろーすんませんなぁ、
いろいろ迷惑かけてもーて。』
『いえ…自業自得ですから…。』
目を覚ましてくれただけ
私やり遂げた感あるので平気。
国行『自分…あんたのこと
傷つけたやんか…謝っても
償いきれんことや。』
肩を落とす明石様の方を
見つめたまま語り出した
『いいんですよ、
皆さん帰ってきて下さいましたし
結果オーライってやつですよ。』
国行『気づいてへんやろうけど
首…赤く痕残ってんで。』
明石様が首をとんとんと示し
見ることは出来ないがまぁ…
あれだけ締められたら仕方ない
『傷は消えますよ、記憶から
少しずつ忘れていきますから。』
やってきた過去は変わらないけど
私の発言に微笑んだ明石様は
私にズイッと近寄ってきた。
国行『あんた…ほんっまに
いい子すぎるやろ…?
あかんやん…我慢できへんわ。』
『へっ…ぁっ…ん…ッ』
ちゅう…と熱い口付けに
驚けば背中に手を添えてそっと
私を布団へと再び寝かせた。
繋がれたままの唇の中から
ぬるり…と舌が入ってきて
『あか…しひゃ…』
国行『んな声出したら
あきまへんやろ…もーっと
いじめたくなるやん?』
ぬちゅ…くちゅ…
絡み合う舌が音を立たせた
蛍丸『あ…国行ずるい…。』
いつの間にか入ってきていた
蛍丸様が駆け寄ってきて私の
腕へとしがみついた。
助けてください蛍丸様…
この人いじわるするんです。
蛍丸『俺も主とちゅーしたい。』
いやするもんじゃないから。
キス魔じゃないんだけど…
だからそんなに頬を
ぷくぅ…と膨らませないで…
(蛍丸様が可愛すぎてどうしよう。)