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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第3章 誤解。


『おはよう…ございます。』


三日月『うむ、おはよう。』


『………。』


三日月『………。』


(沈黙が怖い。)


先程の安定様の怒りが
嫉妬だとすれば三日月様が
放つ殺気は敵意、又は…


(憎悪…。)


三日月『新しい審神者と言うのは
お主ということで合っておるか?』


『紛れもなく、私でございます。』


三日月『はっはっは、
随分と腰の低い主であるなぁ…。』


笑う影に鋭く光る刃を隠す。


流石…と言うべきだろうか
冷や汗が止まらない…帰りたい。


さっさと終わらせよう。


本来ならば立ち去るのだが
この桜の木に私の霊力を流し込み
前審神者の霊力を消さなければ…


恐る恐る一歩ずっと木に近づき
三日月様の殺気に耐え忍ぶ。


背中に視線を感じながらただ
黙って見つめられる中、両手を
桜の木へとついた。


(遅くなってごめんなさい。)


今までのことを全て含めた
謝罪であり懺悔の言葉である。


全神経を集中させて霊力を
ここぞとばかりに流し込んだ。


三日月『これはこれは…。』


流し込まれた霊力によって
本丸に流れる結界及び空気において
全ての影響に感嘆の意をこぼした。


霊力は時として本丸の姿を
天と地の差程まで変えることがある


良くなる為にはそれなりの霊力を
悪くなる結果にも霊力を必要とする。


要は、審神者次第でどうとでもなる。


『憎いものだ、審神者なんて。』


(弄ばれる気持ちなど
わからぬ人間さえ審神者を名乗る。)


まだ見ぬ前審神者に憎しみを
抱きながら放置していた政府に
どんな制裁をくだしてやろうか。


流し終えた霊力を抑えてゆき
一つ溜息を零して本丸へと足を
向けて歩き出そうとした。


『あっ…。』


言い忘れたことがあると
彼の方を振り向けば微動だにせず
私の動きを観察していた。


『本丸内に重症になってる方が
おりましたらご連絡お願いします。』


三日月『うむ…、心得た。』


では、また…と言い残し
思い足取りのままその場を去る。


三日月様は私の背中を
どんな目で見ているかなど
そんな余裕はどこにもない。










三日月『………良い風じゃ…。』


その呟きはそよぐ風へと飛ばされる。


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