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狂気の傷痕【刀剣乱舞】

第3章 誤解。


安定『清光を返してよっ!』


突然…後ろから怒りの含んだ
強い口調の声が聞こえた。


振り向いた先にいたのは
"大和守安定"が私のことを
睨みつけていた。


加州『…安定、』


小さく呟いた清光はそっと
私の服の裾を掴んで近寄る。


この図はあれだ。
親子と誘拐犯のアレである。


安定『何してるんだよ、清光っ
誑(たぶら)かされてるんだよっ

目を覚ましなよ、今までどれだけ
傷ついてきたと思ってるんだよ。』


(むしろ誑かされそうになったのは
私のような気がするけども。)


加州『違っ…安定聞いてよ。
主は今までの主とは違うよっ』


安定『だから騙されてるんだって!』


グイッ…と力任せに清光の腕を掴み
自分の元へと引き寄せた安定様。


安定『新しい主が来たって薬研が
言ってたけどここに必要ないから。

金輪際、清光に近寄らないで。』


行くよほら、と発言する隙を
与えられないまま嫌がる清光を
引っ張り離れていった。


『簡単にはいかないけど…ね、』


一人ぼっちになった廊下で
見えなくなった二人の先を
見つめたまま落ち込んだ。


肩を落とし朝にしては
どんよりとした気持ちで
庭を見つめた。


沈んだ空気にそよぐ風は
なんだか気持ち悪いものだ。


花は咲かず土は傷つき
生える草さえへたりこむ。


あぁ…先にあれを終わらせよう。


この気持ち悪い空気の原因
それは前審神者の霊力残りが
まだここに留まっているのだ。


刀剣達の空気が悪いのは
全てそれのせいにしよう
名案すぎる、それにしよ。


私は玄関へと向かい靴を履き
大きな伸びをして外に出た。


村人には巡り会えず一人きり。





ザクザク…よいしょよいしょ、





年寄りのような足取りで
この本丸の大元(おおもと)
桜が咲く大きな木へと向かう。


『えっ…。』


木のそばに誰かが立っていた。


三日月『ほぉ…。』


私の姿を捉えた木のそばに居た
彼は優雅にこちらを向いた。


三日月『これはまた…。
面白いこともあるものだな。』


ビリッ…と痺れる空気。


全神経を逆立てた
一瞬の隙を与えてはいけない。


与えたその瞬間に…





三日月『………。』





(殺される。)








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