第15章 嫌悪。
愛染様の願いを受け入れ
その夜は自ら物置部屋を出た。
蛍丸様に会う為に、
明石様の許可が必要そうな
感じだったけれどやめた
絶対にあきまへん、とか
断られてしまうからだ。
蛍丸様に初めましてと
言うだけ言って立ち去ろう。
国行『蛍丸に何か用ですの』
丁度、審神者部屋へと登る
階段の手すりに手をかけた時
会いたくなかった人に見つかる
運の悪さが万歳してる…帰りたい
『ご挨拶しようかと…、』
国行『そんなん必要ありまへん』
そんなん言われましたよ
私の挨拶ってそんなんですか。
『…会わせたくないのですか?』
クソ審神者せいで、クッソッ
国行『それもありますけど、
一番の理由は他にあるんですわ』
『他の…理由…。』
国行『国俊に一体何を
吹き込んだんです?』
まずい…これはアレ…
誤解生まれてるパターン…
『吹き込む…って…、』
国行『国俊…あの子も
自分の大事な家族なんですわ。』
愛染様の事を
見ていない訳ではなかった。
誤解が花咲きそうなんだけど、
『はい…存じておりま…、』
国行『勝手に近寄るんなら
自分を通していただかんと…
割に合わんとちゃう?』
『………っ。』
最後まで言えない言葉を
飲み込んだ…飲み込まなきゃ
彼の殺気に呑み込まれてしまう
『お怒り、ですか。』
国行『怒る…とはちゃいますね。
そんな疲れることは自分は
やりとーありまへん、』
ならば…その湧き出る殺気を
どうかどうかおさめください。
『でしたら…なぜ…、』
国行『もはや生きてるのが
めんどーになってきてん…。
こうやって話してるのも
嫌なんですわ。』
『よ…っぽどな嫌われようで…』
私への感情が殺気ですか…
それはそれは…ご苦労様です
今すぐに振り向いて
帰りたいけど…だめだ…目を
逸らすことが出来ない。
こんなにも心が読めない
刀剣は初めてだ…私の方が
読まれているのだろうか。
国行『あんたは悪くないのは
わかっとるんですが…どうにも
過去は変えられんのですわ。』
『そう、ですね…』
だから私も苦労しているのだ
目の前の敵意を向けられながら
国行『せやから…あんたには
楽しい事を教えてもらいますわ。』