第14章 幸福。
安静…安静…安静
(暇だっ!)
時々お見舞いに来てくれる
短刀の皆さんにお菓子をあげたり
心配になって一緒に寝ると言う
清光を安定様が引っ張って行く。
全回復してオカンのような
服装で本丸内を掃除していた
長谷部が来た瞬間に
お腹を痛めるほど爆笑した。
(ごめんね、長谷部
不意打ちする君が悪いよ。)
薬研様に大将が悪化するだろっと
長谷部を連れ去って貰った。
そんな一日をあっという間に
過ごしていれば静かになった
部屋に寂しさを感じる。
(暇だねー、暇だよー。)
静かすぎる部屋に
不穏な霊力が無いか探った。
いつ、どんな時に
前審神者(男)が来るか…。
緊張感の抜けない日常に
私の心が壊れませんように。
あの黒猫も偵察用であり
何かをするとは思えない…
私の霊力が流れる本丸の中で
(クソ)前審神者の霊力は無能。
私が違和感にすぐに気付く。
でもこのままでは駄目なのは
明白である…私が動けなければ
刀を二本用意してほしいのは
出陣の為だったのに…人を…
切ることになるかもしれない。
あぁ…嫌な想像ばかりが浮かぶ。
(逃げたいのは常です…薬研様…)
縋り付きたいその手を隠して
私は今日も意地をはる…か。
私こそ…生き地獄のようだ。
コンコン…。
『ん…?』
三日月『起きておったか、少しいいか?』
『あ、はい…どうぞ?』
三日月『失礼するぞ。』
三日月様、もとい…宗近様が
部屋の中に入ってきた。
よっこら!しょっと
勢いよく起き上がれば宗近様は
私の傍に寄り添い話し出す。
三日月『お主にな、頼み事があるんだ』
『手入れ、ですか?』
三日月『ふむ…まぁある意味
そういう事にもなるやもしれん。』
回りくどい言い方に
なかなか決定打も打たない喋り
てっきり夜這いに来たのかと…
(き、期待してた訳じゃないけど)
三日月『物欲しそうな顔をするな。』
(してない!!)
三日月『これでも俺は…
抑えていおる方なのだぞ?』
『お、お願いって何ですか!』
声が裏返りそうになった。
宗近様はふむ…と一息置いて
私を見据えて呟いた。
三日月『小狐丸を救ってほしいのだ。』
その日は明るい満月の日でした。
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