第14章 幸福。
薬研『大将、薬持ってきたぞ。』
『面目ないです、薬研様…。』
大倶利様の部屋を出て
片付けられた物置部屋に戻り
本当の安静を強制された。
意外にも大倶利様に言われた。
もうツンデレだよね、完璧に
皆には体調不良と言う事にしてる
けど、複数の人は気付いている。
『…それ、苦い?』
薬研『甘い薬なんてねーぜ?』
(でっすよねぇー。)
渋々と薬を受け取った私に
薬研様は水を渡してくれた。
ぬるま湯を渡してくれるあたり
いいお医者様すぎて感動した。
『………ぅ、ぇ。』
薬研『我慢だからなー。』
ちゃんと飲み込んだ事を
確認して頭をよしよしする
薬研様は逞(たくま)しすぎる。
『薬研様…?』
いつまでも撫でる手に首を
傾げて問いかければ薬研様は
息を一息ついて呟いた。
薬研『無理すんなよ、』
『…それは…どういう…。』
薬研『逃げたければ逃げてもいい。
誰もあんたを責めたりしない。』
薬研様は私の頬を撫で
悲しげに微笑んで見つめる。
薬研『俺があんたに
言えた事じゃないんだろうけどさ』
ムニムニと弄り始めた
薬研様にフフッ…と微笑み
私と手を伸ばした。
『ありがとうございます。』
頬をムニッ…と摘めば
薬研様は大人しく摘まれる。
(私よりも柔らかい…弾力…。)
若々しいモチモチした
肌に夢中になりながら
向き合って答える。
『私はこの本丸も
皆さんも好きです…大好きです。
だから…ここに居たいのです。』
どんなに傷ついても
傷はいつか治ると信じてるから
でも…それでも泣きたい時はある
『どうしてもダメな時は
手を貸して頂けませんか…?』
また立ち上がりたいから
諦めたくないのです。
『負けず嫌いなんですよ、私。』
スッ…と近付く薬研様に
私は動けずにいると
ちゅ…と触れる唇。
何度も離してはくっつけ
ちゅぅ…と、また離してく。
『………ん、っ。』
薬研『……任せてくれ、
俺があんたを守ってやる。』
力強い言葉を頂きながら
触れる唇はとても甘い一時…、
『やげ、ん…様…。』
薬研『身を任せればいい。』
その甘い攻防はしばらく続いた。