第14章 幸福。
ズキズキと痛む腰
怠い体は動くことを許さない。
『………っ、ぐ…っ。』
踏ん張るも痛みで
また布団へとダイブする。
ここに来てからこればかりだ。
大倶利『ツラそうだな。』
(ハハッ!おかげさまで、ね!)
隣に座る大倶利様に怒り気味に
睨みつければ悪びれた様子もなく
布団を口元までかけ直した。
そっぽを向く大倶利様だけど
首筋の手当ては丁寧で今は、
痛みは感じないし
寝室を占領しているのに
出て行けと追い出しはしなかった。
布団も大倶利様のものを
使わせてもらっている。
(素直じゃないなぁ…
ほんと、このツンデレさんめ。)
隠れた口元をフッ…と微笑めば
気付いた大倶利様は布団越しから
ガシガシと撫でつけた。
今は…これでいいです。
泣きたい時は泣ける場所がある
それだけを覚えていて欲しいから
燭台切『やぁ…随分仲良くなったね。』
歪んだ笑みなど嘘のような
つくれると言った笑顔で現れた。
大倶利『気色悪いことをいうな。』
燭台切『伽羅ちゃんはまたそーやって』
つくられたと言われる笑みも
大倶利様に向けたものは本物だと
今だけでも信じさせてください。
燭台切『主?』
『ん…?』
ひょこ…と顔を覗かせれば
燭台切様は温かいココアを
持ってきてくれていた。
燭台切『甘い物は好きかな?』
『……っ!………好きっ』
燭台切『………フフッ、』
カチャ…ンッと置かれた
カップの中に美味しそうな
ココアが波打った。
燭台切『さぁ、起きあがれるかい?』
『…ん、しょ…っと。』
起き上がろうと腕を付けば
背中を大倶利様が支えてくれた。
『デレ期…。』
大倶利『寝かしつけるぞ。』
『ご無体な。』
そんなやりとりを繰り返し
起き上がれば後ろに回った
大倶利様は背中合わせになった。
(背もたれですか…そうですか。)
デレ期以外の何ものでもない。
燭台切『本当に仲がいいね、君達は。』
楽しそうに微笑む燭台切様は
涙目になりながらも笑っている。
ココアを受け取りふーふーして
ごくり…と飲み込めば甘い味が
舌に広がり喉を潤し満たされる。
『………フフッ。』
カップを両手で持って私は微笑む。
確かな温もりがここにあったから…