第13章 信頼。
大倶利様が汚れた布団を
捨ててしまい一人で眠る
大倶利様の寝室へ移動した。
『ん…う…。』
燭台切『ん…綺麗になったね。』
(誰のせい?ねぇ誰の?)
悪態つきながらも乱れた体も
汚れた服も全て泣いてる間に
燭台切様に整えてもらった。
燭台切『すっきりしたかい…?』
『うん…。』
精神的に不貞腐れた私は
子供返りといわれても仕方ない。
燭台切『なら良かった…
さぁそろそろ眠ろうか、ね?』
狂気的な笑みもなく
私が見た優しい燭台切様がいて
嬉しくて裾を引っ張った。
燭台切『ん?どうしたんだい?』
『………。』
くいくい…と大倶利様の裾も引く。
大倶利『…なんだ、離せ。』
『………一緒に寝るの。』
今のお二人を離したら
駄目な気がしたから、私が。
大倶利『誰が寝るか。』
『寝るのっ。』
ぎゅ…と震えながら引っ張って
目を見ないように俯いて。
燭台切『まぁいいじゃないか
一緒に寝てあげても。』
燭台切様の誘導もあり諦めた
大倶利様が替えの布団を敷いて
私を挟んで横になってくれた。
どちらを向くにも向けず
上を向きながら離れないように
二人の服を掴んだまま一息つく。
燭台切様はこちらを向いて
お腹のあたりをトントンしてくれて
大倶利様は背中を向けながら
寄り添ってくれて温もりをわけて
くれているようだった。
『………へへ。』
そう笑みを零せば燭台切様が
苦笑いを浮かべながら呟く。
燭台切『怖くないのかい。』
『……まぁ、少しは怖いけど。』
怠(だる)い体は悲鳴をあげるが
温もりは本物だから大丈夫。
『でも…一緒に居たい。』
後ろを向く大倶利様にそっと
寄り添えばビクッと跳ねた。
燭台切『物好きだねぇ…君も。』
後ろから燭台切様に包まれて
サンドな状態に微笑んだ。
大倶利『………フッ。』
大倶利様の笑った吐息を聞き
その背中に強く抱きつきながら
燭台切様の温もりに包まれる。
痛みも苦しみも不安も恐怖も
この温もりに溶ければいいのに。
そんな事を思いながら
静かに意識を闇へと導いた。
確かな温もりをその身に感じて…
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